2004 Fiscal Year Annual Research Report
複素環補酵素-遷移金属錯体におけるプロトン共役電子移動とその制御
Project/Area Number |
16550057
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
小島 隆彦 九州大学, 大学院・理学研究院, 助手 (20264012)
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Keywords | ルテニウム / ピリジルアミン配位子 / プテリン / プロトン共役電子移動 / 非共有結合性相互作用 |
Research Abstract |
筆者は三脚型ピリジルアミン配位子であるトリス(2-ピリジルメチル)アミン(TPA)及びその誘導体を配位子とするルテニウム錯体の合成とキャラクタリゼーション、機能発現について研究を行った。 2つのアミド基を有するルテニウム(II)-TPA錯体において、1つの配位アミド基と1つの非配位アミド基を有する構造が選択的に形成されること、その間に分子内水素結合が形成されることを見いだした。また、そのようなルテニウム-ビスアミドTPA錯体において、配位アミド基に可逆なプロトン脱着により、ルテニウム中心の酸化還元電位が約500mVにわたり制御される新規プロトン共役電子移動系を見いだした。 一方、それらのルテニウム-ビスアミドTPA錯体のうち、2つの1-ナフトイルアミド基を有する錯体において、その2つのナフチル基が形成する疎水場を利用して、弱い疎水性相互作用(π-π及びCH/π相互作用)の相対評価を行った。具体的にはβ-ジケトンとその錯体との反応における生成物としてのβ-ジケトナト錯体の立体選択性を議論した。その結果、CH/π相互作用を発言する幾何異性体が、π-π相互作用を発現する異性体よりも安定で、前者が立体選択的に形成されることを見いだした。さらに、その形成過程が、β-ジケトナト配位子のルテニウム錯体上での新規な分子内転移(擬回転)を伴う反応であることを見いだした。 ルテニウム-TPA錯体の機能性の探索として、2,2'-ビピリジン配位子とする新規錯体を合成し、その熱的及び光化学的なTPA配位子の可逆な部分解離反応を見いだし、その反応機構及びその特性について研究を行った。その結果、熱的部分解離過程においては、S_N1型反応経路を取るのに対し、光科学的過程においてはS_N2型反応経路を経て反応が進行すること、その際に部分解離により開いた配位座にはπ-受容性配位子のみが選択的に配位することを見いだした。
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Research Products
(7 results)