2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16550059
|
Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
片田 元己 東京都立大学, 理学研究科, 教授 (20094261)
|
Keywords | メスバウアー分光法 / 鉄錯体 / 放射線分解生成物 / 放射線誘起 / ガンマ線照射 / マロン酸鉄錯体 |
Research Abstract |
放射線により分解しやすマロン酸を配位子とする鉄錯錯体として、K_3[Fe(C_3H_2O_4)_3].3H_2OやNa_3[Fe(C_3H_2O_4)_3].3H_2Oを合成した。また、対イオンとして放射線に対して耐性のあるフェナントロリニウム、ビピリジニウム、ターピリジニウム等を用いて、(Hphen)_3[Fe(CN)_6].5H_2O、(Hbpy)_3[Fe(CN)_6].H_2O、(Hterpy)_3[Fe(CN)_6].4H_2O、(Hphen)_2[Fe(CN)_5(NO)].2H_2O、[La(phen)_4][Fe(CN)_6].4H_2O、La[Fe(CN)_6].5H_2O等の鉄錯体を合成した。これらの錯体は、マロン酸鉄錯体を除けば、いずれも微結晶として2、3日で得られたが。マロン酸鉄錯体の場合には、2,3ヶ月を要した。K_3[Fe(C_3H_2O_4)_3].3H_2Oは繊維状の形状で得られ、メスバウアースペクトルは液体窒素温度で四極分裂の値が約0.7mms^<-1>のタブレットが観測されたが、大きな結晶として得られたNa_3[Fe(C_3H_2O_4)_3].3H_2Oは、電子緩和によるブロードなシングレットを示した。一方、ヘキサシアノ鉄(III)酸塩は比較的幅の広いダブッレトであった。これらの鉄錯体を^<60>Coのγ線を用いて一定の時間照射し、メスバウアー分光法により生成物を検討した。いずれの場合も、シュウ酸塩やクエン酸塩の場合に比較して安定で、吸収線量が〜10^3Gyでは変化は見られなかった。K_3[Fe(C_3H_2O_4)_3].3H_2Oにおいて、4.7×10^4Gyで四極分裂値が2.58mms^<-1>の高スピン2価の鉄化合物の生成(〜10%)が確認された。さらに照射を継続しており、放射線誘起によって生成する新規な鉄錯体の生成が期待できる。
|