2005 Fiscal Year Annual Research Report
新規な電子配置と磁気特性を有するポルフィリン鉄(II)および鉄(III)錯体の合成と物
Project/Area Number |
16550061
|
Research Institution | TOHO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
中村 幹夫 東邦大学, 医学部, 教授 (20112914)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大胡 恵樹 東邦大学, 医学部, 講師 (40287496)
池崎 章 東邦大学, 医学部, 助手 (80297639)
|
Keywords | ポルフィリン / 鉄錯体 / スピンクロスオーバー / 非平面ポルフィリン / NMR / EPR / X-線結晶構造解析 |
Research Abstract |
サドル型やラッフル型に変形したポルフィリン鉄(III)およびマンガン(III)錯体を合成し、それらの磁気的および電子的性質をNMR, EPR, SQUID, Mossbauer, X-線結晶構造解析などにより検討した。その結果、下記の諸点が明らかになった。 1)軸配位子として水分子を持つサドル型ポルフィリン鉄(III)錯体,[Fe (OETArP)(H_2O)]ClO_4,は極低温で新規なS=3/2,S=5/2間のスピンクロスオーバーを示すことが、EPRおよび磁化率の温度変化測定から明らかになった。 2)meso-位に嵩高いtert-ブチル基を持つラッフル型meso-テトラ(t-ブチル)ポルフィリンに金属イオンを挿入することは、一般に困難である。特に常磁性金属イオンが挿入された例は銅(II)イオンの一例しか報告されていない。今回、常磁性マンガン(III)錯体,[Mn(T^tBuP)]OAc,の合成に初めて成功した。この錯体は大きなラッフル変形のため、ポルフィリン環と中心金属イオンとの間に平面錯体には見られない特異な軌道間相互作用が存在することが^1H NMRスペクトルから判明した。 3)弱い軸配位子を持つ一連のサドル型およびラッフル型6配位中間スピン錯体を合成し、それらの電子配置を主として^<13>C NMRにより決定した。その結果、サドル型錯体ではd_n型電子配置を示すのに対して、ラッフル型錯体ではd_<xy>型とd_π型の混合錯体であることが判明した。
|
Research Products
(6 results)