2004 Fiscal Year Annual Research Report
新規な光誘起電子移動を制御した機能性化学センサーの開発
Project/Area Number |
16550065
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
諸角 達也 北海道大学, 大学院・理学研究科, 助手 (50271713)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 博 北海道大学, 大学院・地球環境科学研究科, 教授 (00117194)
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Keywords | 化学センサー / ねじれ型分子内電子移動 / OFF-ON蛍光シグナル / 光誘起電子移動の制御 / 直鎖状ポリエーテル / アルカリ土類金属イオン / アントラセン芳香族アミド体 / 錯形成 |
Research Abstract |
当研究室では、アントラセン芳香族アミド体が溶液中において"ねじれ型分子内電子移動"(以下TICTと略)消光を示すことを見出した。このTICTは光誘起電子移動の際に分子回転を伴うので分子複合体形成により制御することが可能である。本研究では、このTICT挙動を制御することにより新規な光機能性化学センサーの開発することを目的とした。構造異性体である1-および2-アントラセンベンズアミドをポリエーテル鎖の末端に導入した化学センサーをそれぞれ合成し、金属イオンとの錯形成挙動について分光学的に検討した。その結果、金属イオン不在下では両センサーは、TICT挙動によりほぼ完全に消光した。しかしアルカリ土類金属イオンの添加と共に蛍光強度の著しい増加が観察され、錯形成によりTICT消光が抑制されていることが分かった。^1H NMRの結果から、錯形成に伴い両末端のアントラセン環が近接することにより、立体的な混み合いが生じるため励起状態においてアントラセン環は回転できなくなり、TICT消光が抑制されることが分かった。TICT消光を立体的に制御する新たな方法として、ポリエーテル鎖の片側にプロピル基を導入したセンサーを合成し、検討したところ2-アントラセンとの組み合わせにおいて著しい蛍光増加を示した。この骨格において2-体は9-体よりもプロピル基の接近による回転の抑制を受けやすいことが判明した。さらに立体的に制御するばかりではなく電子供与体として機能するナフタレン部位を有する化学センサーも合成し、機能評価を行った.特に1-ナフチルアセチル基および2-アントラセンの組み合わせにおいて著しい蛍光発光が観察された。この結果からナフタレンからアントラセンへ効率的なエネルギー移動が生じ、ナフタレン環の立体障害によりTICT挙動が抑制されていることがわかった。
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