2005 Fiscal Year Annual Research Report
液液界面イオン移動の時間・空間制御による電位振動反応の精密化・定量化
Project/Area Number |
16550072
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Research Institution | Kyoto Institute of Technology |
Principal Investigator |
前田 耕治 京都工芸繊維大学, 工芸科学研究科, 助教授 (00229303)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木原 壮林 京都工芸繊維大学, 工芸科学研究科, 教授 (60161543)
吉田 裕美 京都工芸繊維大学, 工芸科学研究科, 助手 (40314306)
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Keywords | リン脂質単分子層 / 液液界面イオン移動 / 電位・電流振動 / 酸性リン脂質 / 中性リン脂質 / 協同効果 / 稠密層 / 電気化学的安定性 |
Research Abstract |
リン脂質層を横切るイオン移動にともなう振動現象の精密化のために、リン脂質層の形成や崩壊にともなうイオン移動の生起・停止を微細に制御できる条件の探査を目的とした。 リン脂質層を横切るイオン透過を定量的に理解する上で有効な方法の一つとして、互いに混ざり合わない水相(W)と有機相(O)の界面にリン脂質が吸着した系における液液界面イオン移動ボルタンメトリーおよびWilhelmy法による界面張力測定を実施した。3価ランタニドイオン(Ln^<III>)を含むWとL-α-phosphatidylcholine (PC)を含む1,2-dichloroethane相(DCE)の界面でのイオン移動が、吸着したPCとLn^<III>との結合によりほぼ完全に阻害される実験事実にもとづいて、稠密層の微細な制御のために、正電荷と負電荷の両方を持つ両性リン脂質のPCと負電荷のみを持つ酸性リン脂質のL-α-phosphatidic acid (PA)との間で生じる協同効果を利用した。PCとPAが1:2のモル比で吸着したとき、稠密層形成における相乗効果がもっとも強く現れ、また、稠密層が安定な界面電位差領域が広くなり、正電位印加による稠密層崩壊はより急激に生じることが分かった。この条件は、短周期の振動出現に有利な条件であると考えられる。また、pHが4以上になると協同効果が消えて、PAのみの吸着に近くなることが分り、pHによる振動パラメータの制御につながると期待される。その他に、中性リン脂質としてL-α-phosphatidylethanolamine (PE)、酸性リン脂質としてL-α-phosphatidylserine (PS)を用いたところPE+PAでは稠密層が形成されるが、PC+PSでは形成されなかった。これは、PSのカルボキシル基のpK_aと配位能あるいは極性基全体の立体障害によるものと考えられる。
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Research Products
(4 results)