2006 Fiscal Year Annual Research Report
レーザー多光子イオン化法を用いた液液界面の高感度分析と界面構造解析
Project/Area Number |
16550078
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
井上 高教 大分大学, 工学部, 助教授 (40243969)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
倉内 芳秋 大分大学, 工学部, 助手 (60117398)
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Keywords | 液液界面 / レーザー / 多光子イオン化法 / 高感度分析 / 界面濃度 / 拡散係数 |
Research Abstract |
油相側に高電圧を印加したオクタン/水溶液界面に紫外線パルスレーザーを全反射で照射し,イオン化電流値を測定することができた.エバネッセント波で芳香族分子がイオン化され,数十nmの深さに存在する分子からの信号である.1μM〜0.1nMの濃度範囲で検出が可能であり,高感度であった.レーザーの入射角度依存性を測定し,エバネッセント波の分布関数を適用し,溶質分子の深さ方向の分布を求めた.水中で解離し難い芳香族分子は,界面近くの濃度が高く,水相内部では濃度が低いことが分かった.空間分解能は50nmであり,界面層の厚さを分子の場合で,約120nmと見積もることができた. 液相のある1箇所に芳香族分子を少量注入すると,最初はイオン化信号が0であるが,液液界面に拡散し分子の量が増えるに従い,信号が増加する.この時間の関数として増加するイオン化信号をFickの拡散方程式で解析し,界面付近の拡散係数を求めた.ピレンの場合,バルクの拡散係数よりも大きな値となり,界面の特徴であることが分かった.油相に可溶な分子(ピレン・アントラセン)は界面に拡散した後,水相側にはあまり戻らず界面の油相側に近いところに吸着していくために信号値が少しずつ増加していくが,水相に可溶な分子(ピレンスルホン酸ナトリウム塩アントラセンカルボン酸)は界面の水相側付近でずっと動いているため,信号値の増加速度および変動が大きかった.また,経時変化の結果から拡散係数を算出しそれぞれの溶液で比較した結果,界面付近では中性の油相に可溶な分子より,解離性の高い水相に可溶な分子の方が大きな拡散係数を示した.また,その拡散係数のバルクのpH依存性や界面活性剤依存性を測定することができた.
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