2004 Fiscal Year Annual Research Report
エントロピックホスト分子の重金属識別能の評価とソフト金属イオンセンサーへの応用
Project/Area Number |
16550086
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Research Institution | Osaka Institute of Technology |
Principal Investigator |
渋谷 康彦 大阪工業大学, 工学部, 教授 (00103002)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森内 隆代 (川上 隆代) 大阪工業大学, 工学部, 助教授 (60288751)
藤森 啓一 大阪工業大学, 工学部, 講師 (70319573)
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Keywords | 銀イオンセンサ / 銀イオノフォア / Tridentate Schiff Base / PVC膜電極 / 電位差測定法 / ニュートラルキャリア |
Research Abstract |
Ag^+イオノフォアとして有望なN,N'-ビス(2'-ヒドロキシイミノ-1'-フェニルプロピリデン)-1,3-プロパンジアミン(PHO3)のイオン選択性を向上させるとともにPVC膜中での加水分解を抑制するためには、配位原子数の減少、隣接置換基の静電的効果および立体障害を加味した配位サイトの分子設計が重要と看做され、この方向に添って、ピリジン残基(2-pyridylmethylimino)およびモノオキシムを持つ3座配位子であるSchiff塩基(Me-PyO2,MePyO3,PH-PyO3)の合成単離を試みた。得られた3種のSchiff塩基をイオノフォアとするPVC電極膜(組成:イオノフォア4.0mg,PVC 58.0mg,可塑剤(o-NPOE)136.0mg,カウンターイオン排除剤(KTpClPB)1.0mg)を作成し、電位差測定法により電極の基本特性および混合溶液法ならびにMatched-potential法に従いイオン選択性を調べた。また、X線結晶解析ならびにNMR測定により、これらSchiff塩基のAg^+との錯形成能について調べ、その構造とイオノフォアとしての機能性との関連性について、既報の12種のPHO3誘導体のそれと比較対象した。その結果、(1)配位座として3つのN原子を有するこれらのSchiff塩基は、結晶状態において3つのN原子が直線的に配列する構造であり、コンフォメーション変化によりAg^+を捕捉することが示唆され、エントロピー効果によってイオン選択性が発現したものと考えられる。(2)CDCl_3-CD_3OD溶液中におけるモル比(Ag^+/Schiff塩基)変化法によるNMR測定から、Ag^+はオキシム基およびピリジン残基の2つのN原子と対角線的に配位することによってPVC膜中に捕捉される。このとき生じるAg^+錯体の安定度が低く、これが疑似Nernst応答を導いたと看做される。(3)上記(1)、(2)の現象に由来して、Nernst傾斜が48〜35mV/dec.と僅かに低下するものの、Me-PyO3-NPOE系電極の直線応答範囲(log a_<Ag>=-1.1〜-6.3)は広く、電位応答時間(T^<95>)も10秒以下と優れ、さらに、Me-PyO3のTl^+ならびにK^+に対すAg^+イオンの選択係数の対数値(-log K^<pot>_<AgM>)は、各々2.3,3.8となり、4座配位子であるPHO3の場合の、2.0,3.0に比べて格段に改善されることを見出した。
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Research Products
(1 results)