2005 Fiscal Year Annual Research Report
ラクトン環、ラクタム環を有する生物活性関連化合物の触媒的不斉合成
Project/Area Number |
16550103
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
岡田 芳治 近畿大学, 工学部, 助教授 (30253553)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野村 正人 近畿大学, 工学部, 教授 (60140315)
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Keywords | ホスホノ酢酸トリエチル / イソシアナート / チアゾリジン誘導体 / 炭酸セシウム / メルカプト酢酸メチル |
Research Abstract |
本研究では、新たに高活性な光学活性ホスフィンカルボン酸配位子を開発するとともにラクトン環、ラクタム環を有する生物活性関連化合物の触媒的不斉合成を目的としている。 チアゾリジンジオン骨格を分子中に有する化合物は抗菌性、抗炎症性、抗痙攣性、制癌性、抗ラジカル活性を有するものも多く、中には糖尿病の治療薬として使用されているものもある。しかしながらリン官能基を有するチアゾリジン誘導体についてはほとんど知られていない。そこでリン官能基を有するチアゾリジン誘導体の簡便合成についてイソシアナート類、ジエチルホスホノ酢酸エステル類およびイオウから一段階で合成する方法、イソシアナート類とメルカプト酢酸エステルからチアゾリジン骨格を調製した後、リン官能基を導入する二段階反応の二つの方法から検討した。THF中、-40℃でホスホノ酢酸トリエチルにsec-ブチルリチウムを作用させ、次いで粉末イオウを加えた。これにイソシアン酸フェニルを反応させた後、室温でさらに反応させた。一段階で環化反応までは進行せず、対応するチオカーバメートが収率33%で生成した。一方、同様の反応をイソシアン酸ベンジル用いて行なったところ、低収率ではあるが一段階で環化反応まで進行した3-ベンジル-5-(ジエチルホスホノ)-1,3-チアゾリジン-2,4-ジオンを8%の収率で得た。またこのときチオカーバメートが25%の収率で生成した。 THF中、炭酸セシウム、メルカプト酢酸メチル、メルカプトコハク酸ジメチルとイソシアン酸フェニルを反応させたところ、対応する1,3-チアゾリジン-2,4-ジオンを良好な収率で得た。また、溶媒をジクロロメタン、塩基をN,N-ジメチルアミノピリジン(DMAP)、炭酸カリウム、スパルテインに変えて、さらに種々のイソシアナートを用いて、同様の操作を行なったところ、対応する1,3-チアゾリジン-2,4-ジオンを得ることができた。次に、トルエン中、3-ベンジル-1,3-チアゾリジン-2,4-ジオンにクロロリン酸ジエチルを作用させ、3-ベンジル-5-(ジエチルホスホノ)-1,3-チアゾリジン-2,4-ジオンの合成を行なったが、目的の化合物は得られなかった。
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