2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16550110
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Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
中野 環 奈良先端科学技術大学院大学, 物質創成科学研究科, 助教授 (40227856)
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Keywords | 導電性高分子 / π電子系材料 / 酸化 / 電子スピン共鳴スペクトル / 近赤外吸収スペクトル / 電荷移動 / ラジカルカチオン / オリゴマー |
Research Abstract |
ポリジベンゾフルベンの導電物性を理解することを目的として、π-スタック系における電荷の非局在化について検討した。まず、ポリジベンゾフルベンのオリゴマーをアニオン重合法によって合成し、重合度2から8のオリゴマーを分取サイズ排除クロマトグラフィーにより単離した。それらを無水溶媒に溶かした溶液とし、塩化アンチモンを加えて酸化した。これにより、オリゴマーのラジカルカチオン種が発生したことが電子スピン共鳴スペクトルから明らかになった。ラジカルカチオン種を含む溶液の吸収スペクトルには、ラジカルカチオン種の存在を示す可視領域の650nm付近の吸収に加えて、1400nm付近の近赤外領域に幅広い吸収を示した。後者の吸収は、複数のフルオレン残基に電荷が非局在化したことに基づく電荷移動吸収体(CTバンド)と考えられる。CTバンドのエネルギーは重合度の増加とともに小さくなった。これは、比較的広い範囲にわたって電荷が非局在化し得ることを示唆する可能性がある。CTバンドは少なくとも2つの成分からなっているようであるが、それぞれがどのような電子状態を意味するについてはさらに検討を要するが、2つの成分の寄与の相対的な大きさは測定溶媒の極性に強く依存することから、一方が電荷がより非局在化した状態を、他方が電荷がより局在化して分子種としての極性が高くなった状態を意味するものと推定される。以上に加えて、ジベンゾフルベンのフルオレン残基より大きな共役系を有する新しいモノマーの合成についても検討した。
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