2004 Fiscal Year Annual Research Report
結晶-液晶-等方相転移を示す鎖分子のPVT解析-分子間相互作用エネルギーの配向度依存性と平均場近似の限界
Project/Area Number |
16550112
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Research Institution | Tokyo Polytechnic University |
Principal Investigator |
比江島 俊浩 東京工芸大学, 工学部, 助教授 (30288112)
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Keywords | オキシエチレン鎖 / 二量体化合物 / PVT解析 / 分子間相互作用エネルギー / 平均場近似 / 振動分光解析 / DFT解析 / 配向秩序度 |
Research Abstract |
(1)二量体化合物のラマンスペクトルとPVT解析 オキシエチレン鎖[-(OCH_2CH_2)_6-]を有する二量体化合物のOC-CO結合回りのコンホメーションは、高温相からゴーシュ(等方相)-ゴーシュ(液晶)-トランス(結晶)の順に変化した。流動場における分子全体の形状がOC-CO結合回りのゴーシュ酸素効果に支配されていることを指摘した。また液晶相のラマンスペクトルは全温度域にわたってほぼ一定であり、鎖成分が液晶場に適応した特定のコンホメーション(ネマチックコンホメーション)を保持していることを明らかにした。一方、実測のPVTデータをもとに、温度圧力係数(γ)と相転移に伴う体積変化ΔV_<tr>から既報に従って定容転移エントロピー(γΔV_<tr>)を決定した。その結果、結晶-液晶ならびに液晶-等方相転移に伴う全転移エントロピーの実に65%近くが定容転移エントロピー=スペーサーのコンホメーション分配関数の変化に支配されていることを明らかにした。主鎖型高分子の熱力学的な特性を制御する上で鎖分子の分子設計が重要であることを指摘した(論文印刷中)。 (2)DFT計算に基づく振動分光解析 異方性場に特有な鎖分子の特定コンホメーションと配向度に依存した分子間相互作用エネルギーとの関連を明らかにするためには、二量体化合物の骨格が単純なほど解析は容易になる。最近我々はシアノビフェニル基とジエチレングリコールを組み合わせたCN-φφ-(OCH_2CH_2)_2O-φφ-CNなる二量体化合物を合成し、降温過程においてシュリーレン様の光学組織を呈する液晶相の発現を確認した。赤外・ラマンスペクトルの温度依存性とDFT解析の結果から、流動性の高いネマチック液晶場において二量体化合物が分子長軸方向に分子会合体を形成していることを明らかにした。
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Research Products
(2 results)