2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16550122
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
本吉谷 二郎 信州大学, 繊維学部, 助教授 (60126711)
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Keywords | 化学発光 / 過シュウ酸エステル化学発光 / フタルヒドラジド / 反応機構 / 蛍光 / 電子移動 |
Research Abstract |
過シュウ酸エステル化学発光における発光過程の解明に向けて有機合成化学の立場から詳細な検討を行った。様々なフェノール誘導体から合成されたシュウ酸エステルの反応において、フェノールの電子供与性が発光効率に大きく影響することがわかった。このことから、発光種形成のための過程において電子移動を含む機構が重要であることが明かとなった。また、蛍光性ピレンをスペーサーにより距離を調節したシュウ酸誘導体の反応において、活性部位とピレン部位との距離が発光効率に大きく影響する結果を得たため、活性部位と蛍光剤とが接近することが励起種精製に必要であることが明かとなった。これらの結果から、過シュウ酸エステル化学発光において、電子移動を含むCIEEL機構が関与していることを強く示唆するものと判断される。 一方、フタルヒドラジド化学発光における機構解明および応用についての研究では、スチリル基を有するフタルヒドラジド誘導体を数種合成し、やはり、電子供与性基の導入により発光効率が増大することがわかった。これは、反応種のアニオンの還元電位が上がり、容易に酸素分子を一電子還元することにより、反応性が大きくなるとともに、発光種の蛍光量子収率が増すことに起因すると考えられる。さらに、フタルヒドラジド類に金属イオン識別能力を有するクラウンエーテル部位の導入を試みた。二種類の異なるクラウンエーテルをもっ新規フタルヒドラジドを合成し、アルカリ金属イオン存在下での発光への影響を調べた。その結果、金属イオン存在下では、クラウンエーテル部位との相互作用により発光スペクトルに変化が見られ、またその強度も大きく低下することが判明した。このことは、金属イオンの存在を化学発光によって認識したといえる。この結果は今後の応用に期待を抱かせるものである。
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Research Products
(2 results)