2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16550139
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
山下 宏一 独立行政法人理化学研究所, 化学分析チーム, 先任研究員 (90174672)
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Keywords | 生分解性ポリエステル / 酵素分解 / 吸着 / QCM / AFM |
Research Abstract |
1.酵素吸着過程測定システムの製作 生分解性ポリエステルへの分解酵素吸着過程を解析するための水晶振動子マイクロバランス(QCM)測定システムを製作した。温度制御・セル内溶液の交換効率・試料注入速度制御などを最適化することにより、反応溶液の入れ換えによって生じる揺らぎの大きさと時間は、従来のシステムの100Hz以上、3分間以上から、それぞれ40Hz以下、1分以下にまで改善された。また、ベースラインの安定性とS/N比も著しく向上し、従来の1点/10秒から1点/1秒のサンプリングが可能となった。このシステムにより、これまで観測が困難であった短時間で起こる吸着の過渡的過程を追跡できるようになった。 2.吸着酵素の変形および粘弾性評価手法の検討 分解酵素の吸着を実験的に評価する方法を確立するために、QCMシステムと原子間力顕微鏡(AFM)を用いて、ポリ乳酸(PLA)のproteinase Kによる酵素吸着・分解反応を解析した。QCMにより振動数と共振抵抗を同時測定したところ、共振抵抗の変化は小さくPLAに吸着した酵素は硬い吸着層を形成することが判明した。また、PLAに吸着した分解酵素は水洗によっても脱離せず、見かけ上不可逆に吸着していることが判明した。そこで、吸着分解酵素分子の形状をAFMで直接観察した。希薄濃度条件下では、吸着酵素分子1個1個を独立して観察することができ、酵素が半球状に吸着していることが判明した。酵素濃度を高くするとフィルム表面に吸着する酵素の数が増加し、50μg/mL以上でフィルム表面は完全に酵素で覆われ、それ以上の濃度では高密度パッキングによって酵素が縦長に変形して吸着していることが明らかとなった。さらに、酵素分解によってフィルム表面に生成した穴を計測したところ、酵素分子よりも大きく、分解酵素がPLAを分解しながらフィルム表面を移動していることが示唆された。
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Research Products
(1 results)