2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16550139
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
山下 宏一 独立行政法人理化学研究所, 化学分析チーム, 先任研究員 (90174672)
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Keywords | 生分解性ポリエステル / 酵素分解 / 吸着 / QCM / AFM |
Research Abstract |
(1)酵素吸着反応の経時変化の解析 H16年度に作製した水晶振動子マイクロバランス(QCM)測定システムを使用して、Ralstonia pickettii T1由来PHB分解酵素のポリ乳酸(PLA)アモルファスフィルムへの吸着過程を解析した。酵素をフィルムに作用させると、直ちに速い酵素吸着が観測され、その後ゆっくりとした吸着が観測された。吸着量は、酵素濃度と吸着反応時間とともに増加した。吸着した酵素分子の形態を原子間力顕微鏡(AFM)で観察したところ、低酵素濃度では酵素が単分子層でフィルム表面に吸着し、酵素吸着量が増えるにつれてフィルム表面の酵素分子が混み合うために、酵素が変形して高さが高くなっていた。さらに、酵素濃度が高くなると酵素分子が多層吸着することが分かった。QCMとAFMの結果から、PHB分解酵素のPLAフィルムへの吸着では、まず、酵素の結合ドメインとPLA表面との特異的相互作用によって酵素が直接吸着し、フィルム表面が酵素に覆われるにつれて酵素の形態変化が起こり、吸着した酵素分子層と溶液中の酵素の間の疎水性相互作用によって2層目の積層が起こることが明らかとなった。 (2)酵素吸着を支配する因子の解明 PHB分解酵素と脂肪族ポリエステル間の相互作用を特徴付けるため、基質結合ドメインを持たない分解酵素proteinase Kと一般的なタンパク質牛血清アルブミン(BSA)の吸着反応を調べた。疎水性相互作用のみで吸着するProteinase KとBSAの吸着能はPHB分解酵素の1/100程度であり、PHBの基質フィルムへの高い吸着能が、基質結合ドメインの特異的相互作用によってもたらされていることが示唆された。しかしながら、その特異的相互作用を特定するにはいたれなかった。
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Research Products
(2 results)