2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16550139
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Research Institution | RIKEN |
Principal Investigator |
山下 宏一 独立行政法人理化学研究所, 化学分析チーム, 先任研究員 (90174672)
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Keywords | 生分解性ポリエステル / 酵素分解 / 吸着 / QCM / エステラーゼ |
Research Abstract |
1.酵素吸着メカニズムの解明 生分解性ポリエステル分解酵素の基質吸着能と比較するため、分解酵素と異なる性質を有するタンパク質として牛血清アルブミン(BSA)およびポリヒドロキシブタン酸生合成調節タンパク質(PhaR)の生分解性ポリエステルに対する吸着反応を調べた。BSAの吸着では、ポリエステル表面を加水分解処理すると吸着量が減少し、ポリエステル鎖末端のカルボキシル基と水酸基を疎水アルキル鎖で修飾すると吸着量が増加した。このことから、BSA吸着はポリエステル表面の疎水性に強く依存することが明らかとなった。一方、PhaRは、BSAと同様に疎水性相互作用によって吸着するにもかかわらず、吸着過程は拡散律速であり、BSAの1/100の濃度でポリエステルに吸着し、分解酵素と同等の吸着能を有することが判明した。したがって、生分解性ポリエステルの生合成調節タンパク質と分解酵素は、吸着メカニズムは違っていても、ともに生分解性ポリエステルに対する高い吸着能を有することが明らかになった。 2.生分解性ポリエステル酵素分解反応の速度論的解析手法の開発 酵素分解反応における酵素吸着過程の寄与を解明するため、5種類の酵素を用いてポリ(L-乳酸)(PLLA)の酵素分解反応を調べた。Protainase K,α-chymotripsinおよびsubtilisinは、酵素を作用させると直ちにPLLAの分解が進行したのに対し、elastaseはPLLAに大量に吸着するにもかかわらず約6時間の誘導時間の後に分解反応が進行した。また、tripsinはPLLAに吸着するものの分解の進行が確認できなかった。これらの分解性を支配する因子を明らかにするため、基質への吸着能および可溶性基質を用いたエステラーゼ活性を定量評価したところ、ポリエステルの分解性との相関は単純ではないことが明らかとなった。
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Research Products
(3 results)