2005 Fiscal Year Annual Research Report
イオンチャンネルオリゴマーの機能構造の解析と調節ペプチドの創生
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16550144
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Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
兒玉 浩明 佐賀大学, 理工学部, 助教授 (80205418)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長田 聰史 佐賀大学, 理工学部, 助手 (50284609)
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Keywords | 膜貫通ペプチド / チャンネルペプチド / 受容体タンパク質 / GPCR / 好中球 / 活性酸素放出能 / プライミング / 細胞内カルシウム濃度変化 |
Research Abstract |
幾つかの膜タンパク質、特に7回膜貫通型受容体(GPCR)は、生体膜に存在し、一般に7回膜貫通構造をしている。GPCRは一般に、リガンド結合による誘導されるホモもしくはヘテロ会合により、細胞内に情報を伝達する。GPCR会合に関しては、膜貫通部の内、1本が関与することが確かめられている。 白血球の主要成分である好中球は、細菌感染部位に遊走し、貪食や活性酸素の放出などの免疫応答を示す。免疫応答に関わる細胞膜受容体の中に細菌の代謝産物由来のペプチドfMLPが結合するホルミルペプチド受容体(FPR)がある。ヒト好中球ではFPRの他に、そのサブタイブであるFPR-like 1(FPRL1)が発現している。近年、細菌の細胞膜上の存在する酵素がその酵素の膜貫通ドメインに由来するペプチドで酵素の会合体形成を調節し、酵素活性を制御することが報告された。 会合に関与するドメインを化学合成したペプチドを添加することにより、ペプチドとGPCRドメインの会合により、レセプター会合が妨げられ、シグナル伝達が妨げられることが報告されている。この考えをより動的に証明し、細胞外から膜貫通タンパク質、イオンチャンネルの機能調節を可能にする目的で、FPRの膜貫通領域に由来する膜貫通ペプチドを合成し、物理化学的性質及びヒト好中球における生物活性について評価した。 まず物理化学的性質について評価した。GPCRの膜貫通領域はヘリックス構造を形成している事が報告されている。合成した膜貫通ペプチドにおいても疎水的環境下でのCDスペクトルは同様にヘリックス構造を示すものであった。またペプチド配列中のTrp残基の蛍光特性を利用し、膜貫通ペプチドの疎水場への配向を検討した結果、合成ペプチドが強く疎水場に配向することが示唆された。次に生物活性について評価した。結果、特定の膜貫通領域に由来する膜貫通ペプチドで感作させたヒト好中球において、fMLP刺激で産生させる活性酸素量が増大する現象が認められた。また活性酸素放出量を増大させた膜貫通ペプチドにより細胞内カルシウム濃度上昇が観測された。以上の結果より、膜貫通ペプチドがFPRとFPRL1の両方、またはいずれかの膜貫通領域と相互作用している事が示唆された。本研究での結果はFPRまたはFPRL1の会合体形成と受容体機能を解明する上で重要な知見であると考えられる。
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Research Products
(5 results)