2004 Fiscal Year Annual Research Report
非シクロオキシゲナーゼ経路と考えられる海産プロスタノイドの生合成経路の解明
Project/Area Number |
16550147
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Research Institution | Tokyo University of Pharmacy and Life Science |
Principal Investigator |
渡辺 謹三 東京薬科大学, 生命科学部, 助教授 (10167116)
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Keywords | 軟体サンゴ / Clavularia viridis / プロスタノイド / 生合成経路 / リポキシゲナーゼ |
Research Abstract |
平成16年7月25日〜30日に沖縄県石垣島近海で軟体サンゴClavularia viridisを採取し空輸して実験室内の水槽で飼育し、本研究に用いた。 昨年度までに軟体サンゴのプロスタノイド生合成に関与すると考えられるリポキシゲナーゼ(LOX)をコードする遺伝子の断片(550塩基対)を得ているので、このDNA断片をプローブとしてスクリーニングを行いLOX遺伝子を単離し、1066残基のアミノ酸をコードする全塩基配列(3585塩基対、Gene Bank, Accession No. : AB188528, Protein ID : BAD89999)を決定した。この遺伝子はLOXのみならず、アラキドン酸にLOXが作用して8-hydroperoxyeicosatetraenoic acid (8-HPETE)を生成した後に作用してプロスタノイド骨格の形成に関与すると考えられているアレンオキシド合成酵素もコードしており、この生合成経路の中核を成す酵素をコードしているものと考えられる。現在、この遺伝子をSf9細胞に導入し、その発現を試みている。 上記の研究と平行して、この軟体サンゴポリプから得た粗酵素系を用いた生合成実験を行い、これまでに放射性同位体ラベルのアラキドン酸を用いた実験によりその存在が示唆されていた生合成中間体、8-HPETEおよびプロスタノイド骨格を持つpreclavulone-A (PCA)がこの実験系によりアラキドン酸から生成することを各生成物を単離して各種機器分析を行うことにより明らかにした。さらに、この軟体サンゴのプロスタノイド生合成に特徴的なカルボキシル基のメチルエステル化が生合成経路上でPCAの生成以降に起こることを示唆する結果も得た。 以上の結果について学術誌への論文の投稿を準備中である。
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