2004 Fiscal Year Annual Research Report
機能性ダイヤモンド電極における新しい電解発光反応と医療用センサーへの応用
Project/Area Number |
16550157
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
本多 謙介 山口大学, 理学部, 助教授 (60334314)
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Keywords | 導電性ダイヤモンド / 電解発光反応 / ルテニウム錯体 / シュウ酸 / アスコルビン酸 / 直接修飾電極 / 尿 / 選択検出 |
Research Abstract |
本研究課題は,ダイヤモンド表面における新たな電気化学発光反応を探索し,その反応プロセス解明により、ダイヤモンド電極を用いた次世代型電解発光センサーデバイスの研究開発を目的としている. [1]ダイヤモンド電極表面における新規電界発光反応の探索 ダイヤモンド電極におけるルテニウムビピリジル錯体を利用した電解発光反応では,アスコルビン酸共存下で,3.5Vという極めて高い電位領域において,高輝度な発光反応挙動が観測された.この発光反応のピーク電位は共反応物質濃度に比例し,発光強度は共反応物質のOHラジカルによる水素引き抜き速度と高い相関関係を示すことから,この高電位電解発光反応には,ダイヤモンド表面で生成するOHラジカルによる共反応物質のラジカル化過程が含まれることが判明した.この高電位電解発光反応を電気化学分析に応用することにより,OHラジカルにより容易にラジカル化する物質(2-プロパノールやテトラヒドロフラン等)を高感度に選択検出することが可能となる. [2]医療用ダイヤモンド電解発光センサーの開発〜尿中蓚酸分析装置の開発 有機化合物の吸着を示さないダイヤモンド表面は,蛋白などを多く含む試料に対して長期作動信頼性の高い電極材料である.また,ルテニウムビピリジル錯体を用いる電解発光反応は,尿中に存在する多数の電気化学活性化合物の中から,試料のpH制御によりシュウ酸のみを選択的に検出可能な手法である. シュウ酸選択検出を可能とする光機能性電極実現のため,耐久性の高いルテニウムビピリジル錯体のダイヤ表面への直接修飾方法の開発を行なった.修飾法として,ビピリジル配位子にドデシル基導入後,ドデシル基-表面炭素間に化学結合を形成するという担持方法を用いた.ダイヤ-ドデシル基間を(1)N原子を介したC-N-C結合,(2)O原子を介したC-O-C結合の2つの担持手法に対し,シュウ酸に対する電解発光強度の安定性評価を行なった結果,(2)の担持方法が安定性の高い修飾方法であることが判明した.これらの修飾電極は,シュウ酸をアスコルビン酸,尿酸共存下で選択的に200μMの低濃度まで選択検出可能であった.シュウ酸を選択検出可能な安定性の高い光機能性ダイヤモンド電極の創製に成功した.
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Research Products
(4 results)