2004 Fiscal Year Annual Research Report
化学反応によって合成した炭素前駆体からの機能性ナノカーボンの創製
Project/Area Number |
16550166
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
山田 能生 福井大学, 工学部, 教授 (80358267)
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Keywords | ナノカーボン / 多孔質炭素 / 脱フッ素化反応 / 炭素前駆体 |
Research Abstract |
アルカリ金属による各種フッ素化物の脱フッ素化反応により、新しい形態や構造などを有するナノカーボンを得ることを目的として、本年度はまずオクタフルオロナフタレン(OFN)をナトリウム金属で脱フッ素化し、得られた炭素質物質、およびその熱処理物について検討した。その結果を以下に示す。 1.脱フッ素化物は非常に反応性に富むため、試料を空気中に曝すと容易に表面が酸化される。 2.脱フッ素化物中に含まれる副生フッ化ナトリウムを除去するため、希塩酸、水で洗浄、乾燥し、その後試料の窒素吸着測定を行ったところ、BET比表面積は784m^2/gであった。 3.これを800℃に熱処理したところ、比表面積は1021m^2/gに増加した。 4.この熱処理物を透過電子顕微鏡で観察したところ、約2nmの厚さを持つ40〜60nmのアモルファスの中空状ナノカーボンなどが見られた。 5.これをさらに2800℃で処理した場合、螺旋状の渦を巻いたような特異な形態をしたカーボンが多数生成しているのが観察された。 6.OFNとナトリウムの両方を真空中、120℃で脱フッ素化する方法では、生成物の形態が不均一になる。そこで、ナトリウムの部分だけを120℃に熱し、OFNは室温で昇華させながら気相中で徐々に脱フッ素反応を行い、生成物をガラス管内壁に堆積させる方法をとった。その結果、薄膜状の均質な物質が得られた。この物質の比表面積は1670m^2/gとなった。 7.他方、脱フッ素化後、副生したフッ化ナトリウムを共存させたままで500℃に加熱し、その後酸処理したところ、比表面積は2270m^2/gと非常に大きい値が得られた。 8.これを走査電子顕微鏡で観察したところ、上述の薄膜状と異なり、繊維の束状の形態であった。 以上のように、副生したフッ化ナトリウムを除去した後に熱処理するか、それとも共存下で熱処理するかによって生成物の形態が大きく異なることを見出した。これは熱処理に伴う副生フッ化ナトリウムの凝集、結晶成長に密接に関係しているものと思われる。
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Research Products
(2 results)