2006 Fiscal Year Annual Research Report
化学反応によって合成した炭素前駆体からの機能性ナノカーボンの創製
Project/Area Number |
16550166
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
山田 能生 福井大学, 工学研究科, 教授 (80358267)
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Keywords | フッ素化有機化合物 / 脱フッ素化反応 / 炭素前駆体 / アモルファス炭素 |
Research Abstract |
本年度は、これまで用いてきた全フッ素化ナフタレンよりも低分子量で、液体であるフッ素化ベンゼン(HFB)、フッ素化トルエン(OFT)、フッ素化ピリジン(PFP)、それに鎖状構造をしたパーフルオロオクタン(PFO)を使って、ナトリウムによる脱フッ素化反応を行った。また、sp^1とsp^2炭素が任意に混ざった新規なポーラスナノコンポジットの調製を試みるため、OFTとPFOを任意の割合で混合した原料も用いた。脱フッ素化した生成物をフッ酸などで処理して副生物を除去し、得られた炭素体について元素分析、熱重量測定、それに窒素吸着測定により多孔質炭素としての特性評価を行った。他方、各種基盤上にアルカリ金属を蒸着させ、その上で全フッ素化ナフタレンの脱フッ素化反応を行い、薄膜状の多孔質炭素の合成を試みた。以下のこれらの結果を箇条書きに記す。 1.HFB、OFT、PFOからの炭素は孔、板状、球状の形態をしたものが多く見られ、PFPについては太さ数百nmの針状が多く存在し、TEMで詳細に観察した結果、中空状であることが確認できた。 2.PFPからの炭素について窒素含有量を調べたところ、脱フッ素化試料では原料中の窒素がほぼ全量残存していたが、800℃で熱処理すると減少するものの、約2/3は残存していた。 3.窒素吸着測定により細孔構造を調べた結果、原料構造の違いによって細孔分布がかなり異なることがわかった。特にPFPからの800℃処理炭素では、比表面積、メソ孔容積とも大きく、それぞれ1950m^2/g、0.77ml/gであった。 4.ガラスや金属基板を使って多孔質炭素薄膜の合成を試みたが、非常に脆く、酸洗浄などの過程で簡単に薄膜が壊れることがわかったため、これ以上の実験は行わなかった。
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Research Products
(1 results)