2004 Fiscal Year Annual Research Report
半導体上に担持された貴金属クラスター表面からの光誘導-還元的硫黄脱着に関する研究
Project/Area Number |
16550169
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
多田 弘明 近畿大学, 理工学部, 助教授 (60298990)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 征司郎 近畿大学, 理工学部, 教授 (40088448)
岩崎 光伸 近畿大学, 理工学部, 講師 (20278740)
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Keywords | 金ナノ微粒子 / 白金ナノ微粒子 / 半導体 / 触媒 / 硫黄被毒 / 光クリーニング / 光触媒 / 酸化チタン |
Research Abstract |
平成16年度の研究実績を項目別に以下に記す。 1.沈殿析出法および光析出法を用いて、それぞれ平均サイズ3nmのAu微粒子およびPt微粒子を半導体表面に高分散状態で担持することに成功した。可視・紫外分光光度計,ICPおよびTEMを用いて、得られたサンプルの分析を行い、金属クラスターの担持量、分散状態および平均サイズを決定した。 2.代表的なn型半導体であるTiO2表面にAuナノ微粒子およびPtナノ微粒子を担持したサンプル(Au/TiO2およびPt/TiO2)を調製し、単体硫黄(S8)の吸着特性を調べた。その結果、S8は、Au/TiO2およびPt/TiO2のそれぞれAuおよびPt表面に高選択的に吸着することを明らかにした。さらに、吸着等温線の解析から、飽和吸着量と吸着平衡定数を決定した。 3.イオンクロマトグラフィーを用いて、光照射にともなって脱離した硫黄を定量した。硫黄の光脱離とダークにおける再吸着を仮定した反応モデルに基づいて得られた理論曲線は実験データに良く一致することが明らかになった。この解析から、硫黄の光脱離速度定数と再吸着速度定数を同時に求めることに成功した。 4.ゾルゲル法を用いてSnO2電極上にTiO2薄膜を形成し、析出沈殿法によりさらにその表面にAuナノ微粒子を担持したサンプルを作製した(Au/TiO2/SnO2)。本研究補助金で購入した電気化学測定システムを用いて、Au/TiO2/SnO2のダークおよび光照射下における電極電位を測定した。その値から見積もった光定常状態における半導体のフェルミエネルギーと脱離速度との間に良い相関があることを見出した。この結果から、半導体上に担持されたAuナノ微粒子表面からの硫黄脱離速度が、Au自体の物性でなく、それを支持している半導体の物性で決定されるという非常に興味深い結論を得ることができた。
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Research Products
(2 results)