2004 Fiscal Year Annual Research Report
一軸配向ポリエステルにおけるシシカバブ構造の高分解能電子顕微鏡観察
Project/Area Number |
16550174
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
辻 正樹 京都大学, 化学研究所, 助教授 (60172003)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
河原 豊 京都工芸繊維大学, 工芸科学研究科, 助教授 (10303934)
平井 諒子 京都大学, 化学研究所, 助手 (20156623)
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Keywords | ポリエステル / 一軸配向薄膜 / シシカバブ構造 / 透過型電子顕微鏡 / 電子回折 / 高分解能観察 / 球晶 / ポリブチレンテレフタレート |
Research Abstract |
透過型電子顕微鏡(TEM)による高分解能観察には、厚さ50nm以下の薄い試料が望まれる。本年度は、高分解能観察に適したポリエステル薄膜の作製手法確立に主眼をおいた。試料作製法に関する成果を含めて、本年度の研究実績は以下の通りである。 1)ポリエチレンナフタレート(PEN)の高速紡糸繊維(紡糸速度:2〜10km/分)について、表面エッチング法によっで繊維内部微細構造を調べ、積層ラメラ構造に関係すると思われるネットワーク構造を確認した。結果は学術論文として公表した(Polymer, Vol.46,No.6,1886-1892(2005))。 2)ポリブチレンテレフタレート(PBT)を静置場でメルトから結晶化させると、結晶化温度(Tc)が200℃より高温ではマルテーゼクロスと直交ニコルの方向とが一致したusualな球晶が、一方、Tcが200℃より低い場合にはマルテーゼクロスと直交ニコルの方向とぶ約45度ずれたunusualな球晶が形成されると知られている。薄膜中に生長した各々の球晶について、TEMによる電子回折やモルフォロジー観察から、ラメラの成長方向や光学的複屈折特性の原因などを考察した(第54回高分子学会年次大会(平成17年5月25-27日;横浜)で発表予定)。 3)芳香族ポリエステルであるポリエチレンテレフタレート(PET)、PENならびにPBTの各々について、メルト状態で「ずり歪み(shear rate:約4×10^6/秒)」をかけることによりTEM観察用の一軸配向薄膜を作製した。特に、PENやPBTでは明瞭な積層ラメラ構造が確認され、これらの試料ではシシカバブ構造が形成されていると結論した(第54回高分子学会年次大会(平成17年5月25-27日;横浜)で発表予定)。これらの試料について、平成17年度はTEMによる高分解能観察を行う予定である。
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Research Products
(2 results)