2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16550177
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
島村 薫 岡山大学, 大学院・自然科学研究科, 教授 (80013506)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
内田 哲也 岡山大学, 大学院・自然科学研究科, 助手 (90284083)
木村 邦生 岡山大学, 大学院・環境学研究科, 教授 (40274013)
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Keywords | 剛直高分子 / 分子量分別 / 分子鎖長分布 / 単結晶 / 結晶化 |
Research Abstract |
Poly(p-phenylene benzobisthiazole)(PBZT)などの全芳香族剛直高分子は硫酸やメタンスルホン酸(MSA)などの強酸にしか溶解せず,屈曲高分子のように有機溶媒を展開液として用いた分子量分別法は適用できない.昨年度までの研究で,MSAを展開溶媒とし,多孔性シリカゲルを充填剤としたカラム分別装置を作製し,充填剤として用いるシリカゲルの種類,カラム温度,流下速度などが分離能におよぼす影響について検討した.この結果により,分別にあたっての系統的な指針が得られ,目的に応じて最適な充填剤(シリカゲル)の選択が可能となった. 本年度は,分別して得られた試料の分子量分布を測定することを目的とし,可視吸収スペクトルを用いてカラムから溶出してきた分別されたPBZTの濃度を測定する方法を確立した.また,分別して分子鎖長の揃ったPBZTを用いて結晶化を行い,分子鎖長の違いが結晶成長速度におよぼす影響について検討した.得られた知見を以下に示す. ・PBZTのMSA溶液は黄色を呈し,可視吸収スペクトルでは440nm付近に極大を示した.この吸収スペクトル強度の濃度依存性,分子量依存性を検討した結果,分子鎖長の違いにかかわらず,濃度0.8×10^<-3>g/l(溶液濃度cと光路長dの積cd=0.8×10^<-4>g・cm/l)までの領域ではPBZT濃度と吸光度の間に直線関係が成り立つことがわかった.この結果を利用してカラムから溶出してきた分別されたPBZTの濃度を測定する方法を確立し,未分別PBZTの分子量分布を明らかにした. ・分子鎖長のそろったPBZTを用いて,分子鎖長の違いが結晶成長速度に与える影響を検討した.PBZTの結晶成長速度(G)はG∝exp(-C/ΔT)C:定数の関係が成り立ち,結晶成長が二次核形成過程律速型であることが明らかになった.またPBZTの結晶化においては結晶成長表面に分子鎖の配向をそろえる回転拡散が支配的であることも判明した.
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