2004 Fiscal Year Annual Research Report
希土類元素添加ナノ酸化チタン薄膜の相制御と赤外発光デバイスへの応用
Project/Area Number |
16560016
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Research Institution | Toyo University |
Principal Investigator |
小室 修二 東洋大学, 工学部, 教授 (90120336)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森川 滝太郎 東洋大学, 工学部, 教授 (80191013)
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Keywords | ナノ結晶 / 酸化チタン / レーザーアブレーション / 赤外発光 / 光触媒効果 / エルビウム |
Research Abstract |
今年度の研究実績は次のようにまとめられる。 1)バルク酸化チタン(TiO_2)ターゲットを使用し、QスイッチYAGレーザーの第4高調波(波長:266nm、パルス幅:5ns、フルーエンス:1J/cm^2)によりレーザーアブレーションすることでSi基板上にTiO_2薄膜を作成した。成膜時の基板温度は室温とし、チャンバー内の酸素圧力を酸素ガス導入なし(1×10^<-7>Torr)から1×10^<-2>Torrの酸素圧力まで広い範囲で成膜を行った。膜厚は約200nmとした。成膜後、1気圧の酸素雰囲気中において300℃から900℃まで種々の温度において30分間の熱処理を施した。 2)TiO_2薄膜の成膜時の酸素ガス圧力と、得られた薄膜の結晶構造に強い依存性があることを見出した。 酸素ガス導入なし(1×10^<-7>Torr)で作成したTiO_2薄膜は、ルチル型の結晶構造(R-TiO_2)のみを有するが、1×10^<-2>Torrで作成したTiO_2薄膜はアナターゼ型の結晶構造(A-TiO_2)のみを示すことが明らかになった。また、1×10^<-4>Torr程度の中間領域の酸素圧力下では、R-TiO_2とA-TiO_2の2つの結晶構造が混在した薄膜となることを確認した。 3)酸素ガス圧力と結晶構造との関係を次のように考察した。 アブレーションによりターゲット表面から放出されるTiと酸素原子ラジカルは、大きな運動エネルギーを持っているが、基板に到達する過程において雰囲気ガスの酸素分子と衝突しその運動エネルギーを消失する。このエネルギー消失割合は酸素濃度(酸素圧力)に強く依存する。従って、相対的に高い酸素圧力下では基板に到達する粒子の運動エネルギーは大きく減少し、高密度の薄膜形成を行うことができない。従って結果的に低い酸素圧力下では高密度のR-TiO_2薄膜、高い酸素圧力下では低密度のA-TiO_2薄膜が選択的に形成されると解釈される。
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Research Products
(1 results)