2005 Fiscal Year Annual Research Report
水素によって表面終端されたナノ結晶シリコンの生成機構と光物性
Project/Area Number |
16560018
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Research Institution | Konan University |
Principal Investigator |
梅津 郁朗 甲南大学, 理工学部, 助教授 (30203582)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
杉村 陽 甲南大学, 理工学部, 教授 (30278791)
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Keywords | ナノ材料 / 結晶成長 / 半導体物性 / 表面・界面物性 / 量子ドット |
Research Abstract |
本年度は前年度に引き続きプルームの測定および解析を行った。その結果プルームの伝播過程、ナノ結晶生成過程、表面形成過程に関して多くの知見を得ることができた。 不活性ガス中および低ガス圧中でのプルームの伝播、反応過程は筆者らの研究以前にすでに多くの研究がなされている。筆者らの興味はナノ結晶が生成されるような比較的高い雰囲気ガス圧でのレーザーアブレーション中のシリコンと雰囲気ガスの反応過程である。 レーザーパルスをターゲットに照射させた直後数百ナノ秒までの間には雰囲気ガスの影響はほとんどなく水素ガスに由来するプルームの発光は観察されなかった。この時間においては放出されたシリコン種は断熱膨張によって冷却し、ナノ結晶の結晶核が生成されると考えられる。その後Si-H種に由来する発光が観察された。したがって数百ナノ秒以降の時間でシリコン種と雰囲気の水素ガスが反応したと考えられる。その後はナノ結晶が成長し粒径が4-5nmのナノ結晶となる。もしナノ結晶表面がSi-Hボンドで覆われていたとすると結晶の核形成過程のポテンシャルバリアーがなくなり核形成は活発になり一方成長は抑制されることが期待される。しかしながらSi-Hボンドは700K以上では安定に存在せずプルームの初期温度は数万度の上ることから、ナノ粒子が形成されても十分に冷却されるまでは表面に強いボンドとしてのSi-Hは存在しないことになる。したがってナノ結晶はこの温度以下に冷却したときに初めて表面がSi-Hボンドで囲われ安定化する。この温度以下ではナノ結晶の成長よりもナノ結晶同士の衝突、凝集が重要となる。また最近の研究から表面の水素はナノ結晶同士の凝集過程を抑制していること、凝集構造はナノ結晶の光学バンドギャップに影響を与えていることが明らかになってきた。以上のように本研究でナノ結晶の生成過程およびナノ結晶表面の反応と形成過程が明らかにすることができた。今後は水素化に限定せずに表面窒化の観点からナノ結晶シリコンの生成過程と光物性に関して議論を進めていく。
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Research Products
(7 results)