2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16560019
|
Research Institution | Oyama National College of Technology |
Principal Investigator |
森 夏樹 小山工業高等専門学校, 電気情報工学科, 教授 (60149911)
|
Keywords | 超伝導揺らぎ / 高温超伝導体 / 電気伝導特性 / 短波長揺らぎ / 異方性因子 / スペクトロスコピー / 臨界電流 / 輸送特性 |
Research Abstract |
揺らぎ伝導率(σ')解析を対象とした超伝導系は主として次の3種類である。系(1)酸素量あるいはPr含有量を制御した(Y_<1-x>,Pr_x)Ba_2Cu_3O_<7-y>(YBCO,PrYBCO)焼結体、系(2)Bi_2Sr_2Ca_2Cu_3O_<10>/Ag(Bi/Ag)積層系Bulk、系-(3)RE123-211溶融体(RE=Nd,Dy)。これらの系に対しcryostat自動計測装置により詳しく測定した抵抗率の温度特性からσ'の還元温度ε依存性を算出し、Aslamazov-Larkin (AL)、Maki-Thompson (MT)、Density-of-states (DOS)理論に「運動量とenergy-cutoff」の効果を考慮したab面内の揺らぎ伝導率σ'_<ab>(ε)の式を用いて解析した。その結果、cuttoffを考慮することにより系(1,2)で測定された全ての温度範囲でσ'_<ab>(ε)の実験値と理論値を一致させることが可能であることを示し、更にYBCOでは電子散乱時間τと、PrBCOではphase-coherence時間τ_φと各系のTcと相関関係があることを明らかにした。次に系(2,3)では、層状系のAL理論に基づく解析から、系の異方性r=ξ_<ab>/ξ_c(ξはcoherence長)を求め、臨界電流密度Jcあるいは捕捉磁場Tpの変化との相関性があることを見出した。以上の結果から、波数cutoffを含めたσ'解析は、従来の次元性やcoherence長のみならず、系の特性評価に関する重要な情報を与える事が具体的に示され、本研究の目的であるspectroscopyとしての有効性が得られた。 その他の研究成果としては、AL+MT+DOS項についてspectral-cutoffを考慮した正確なσ'_<ab>(ε)の式をD次元系(D=1,2,3)と層状系について導き、YBCO薄膜に対し解析を行った。一方、c軸方向の揺らぎ伝導率σ'_c(ε)におけるcutoff効果を含めた理論式を導き、その予備的な解析を行った。それらの結果から、σ'_<ab>とσ'_c共にcutoff効果は実験結果を説明するために有用であることが得られた。帯磁率に関する揺らぎの効果に関する評価をBi系焼結体について測定し、単純なAL理論の範囲で解析した結果、低温側から3次元-2次元のcrossoverが認められている。最後に、電子dope形超伝導体の伝導率と熱電能の揺らぎ効果に対する予備的実験としてNd_<2-x>Ce_xCuO_4系について電気伝導性と熱電能特性について研究した。
|
Research Products
(3 results)