2005 Fiscal Year Annual Research Report
第一原理分子動力学を用いたミクロンスケール結晶成長シミュレーションの開発
Project/Area Number |
16560023
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
石井 晃 鳥取大学, 工学部, 助教授 (70183001)
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Keywords | 第一原理計算 / 動的モンテカルロ法 / エピタキシャル成長 / 量子ドット / 青色発光材料 |
Research Abstract |
基板の広い範囲を扱う必要のあるエピタキシャル成長のシミュレーションに第一原理計算の結果を採り入れる理論を、モデルとして基板表面上を移動する各原子の感じるmigration barrier potentialを第一近接原子と第二近接原子とで記述するものを提示し、それに沿って様々な系で具体的な計算を行った。計算した系はInAs/GaAs(001)量子ドット系、GaSb/GaAs(001)量子ドット系、ZnO(0001)ホモエピタキシャル成長、ZnO(000-1)ホモエピタキシャル成長、サファイア基板上のZnOヘテロ成長。ZnO(0001)基板上のGaNヘテロ成長、SiC(0001)基板上のZnOヘテロ成長である。以上の一部は既に2006年初頭に論文として出版されたが、他に投稿中の論文が3つほどある。 代表的な成果としては、InAs/GaAs(001)表面で量子ドットが形成される機構を第一原理計算とそれからパラメータを決めた動的モンテカルロ法シミュレーションで解明した論文で、表面最上層のぬれ層にInAsとGaAsが入り交じっている状況を仮定してそこにGa原子のクラスターがたまたまあるとすると、そのGa原子クラスターの周囲に選択的にIn原子およびAs原子が集まって量子ドットが形成されることがわかった。この量子ドット形成は基板表面のステップ端に工n原子が取り込まれる割合とのかねあいで形成が起こり、430℃付近では形成されやすいが、500℃になるとIn原子がよく動きすぎるのでステップ端に取り込まれる割合の方が大きくなり、量子ドットは形成さらにくくなる。これは論文を共著で出した東大の荒川グループ(特に塚本史郎教授)のSTMBE観察とよく一致することがわかった。 また、ZnO(0001)のホモエピタキシャル成長はZn原子や酸素原子の感じる結合エネルギーを様々な配置での第一原理計算から求め、これから動的モンテカルロ法シミュレーションに用いるパラメータを決定してエピタキシャル成長シミュレーションを実行したところ、実験とよく合う結果を得て、第一原理計算と動的モンテカルロ法による結晶成長シミュレーションとを融合させる道が開かれた。 研究成果の一部は17年6月にスウェーデンのストックホルムで行われたAtomically Controlled Surface and Interface for Nanotechnology-8で発表された。また、いろいろな系に対応した第一原理計算を素早く行うため、事実上の世界標準となりつつあるVASPプログラムパッケージをこの補助金から購入し、これを最大限活用した。
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Research Products
(3 results)