2005 Fiscal Year Annual Research Report
電子顕微鏡用の試料環境制御可能な多用途ガス雰囲気試料室の開発
Project/Area Number |
16560025
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
石川 晃 日本大学, 文理学部, 教授 (90023241)
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Keywords | 電子顕微鏡 / ガス雰囲気試料室 / 含水試料 / イオン捕集 / 試料損傷 / その場観察 / 電子線透過率 / 隔膜 |
Research Abstract |
密閉型ガス雰囲気試料室の実用化を図り、この技術を応用した多用途型ガス雰囲気試料室の開発を目指した。 (1)密閉型ガス雰囲気試料室内の圧力測定方法の確立 密閉型試料室内のガス圧力の測定法として、(隔膜+ガス層+隔膜)構造の電子線透過率の測定値からガス圧力を推定する方法を実験的に検討した結果、圧力と透過率の関係式を導出により、圧力測定法を確立できた。試料室内に液層の設置も可能であるが、その厚さの推定も可能となった。また、密閉する前に任意の圧力に調整した上で密閉できる予備排気密閉装置の製作により、大気圧から低真空までの任意の圧力での含水試料観察が可能となった。 (2)多用途ガス還流型ガス雰囲気試料室およびガス環境制御装置の開発 密閉型のシールド方法を応用して構成要素を簡易化し、組み立ての容易なガス還流型のガス雰囲気試料室を開発した。試料室のシールド用に、これまでに開発した1.3気圧以上の高耐圧性隔膜を採用したため、試料室内部と電子顕微鏡の予備排気室を作動排気する必要がなくなったので、新たな制御装置を設計・製作し、試料室内の圧力制御の操作性を格段に向上させることができた。さらに試料室の多用途化を目指し、まず、直径3mm高さ1mmの試料室内部に組み込める電極ユニットを設計・試作した。これによりガス雰囲気でのイオン化ガス分子の捕集が可能となることを確認し、試料損傷の低減を図る手段が得られた。次に、このシステムを応用し、試料室の温度制御を目指してヒーターシステムを設計・試作したが、絶縁材に採用したガラスセラミックの強度不足のため、試料室シールド用の締め付けに耐えず、現時点でヒーターユニットの完成には至っておらず、今後改良を継続して完成を目指したい。
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