2005 Fiscal Year Annual Research Report
厚さが数分子層以下の有機半導体層における電界ドーピング効果の分光学的測定
Project/Area Number |
16560028
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
池上 敬一 独立行政法人産業技術総合研究所, ナノテクノロジー研究部門, 主任研究員 (50356416)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大貫 等 東京海洋大学, 海洋工学部, 助手 (60223898)
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Keywords | 有機FET / 電界効果ドーピング / 物理ドープ / 振動分光法 / 反射吸収分光法 / LB膜 / TCNQ / BO |
Research Abstract |
電界ドーピング現象を理解する礎を提供する目的で,金属/絶縁体/半導体/金属という平行4層構造のモデルに多くの近似を適用して簡単化し,フェルミ分布とガウスの法則を連立方程式として解析的に解いた。その解にラングミュア・ブロジェット(LB)膜を半導体層及び絶縁体層として用いた場合に想定される物性常数を代入し,その振る舞いを調べた。その結果,半導体層の膜厚と伝導帯の状態密度の両方が極端に小さい場合には電界ドーピング現象に非線形性が生じるものの蓄積層の厚さが膜厚に比して十分小さいという状況は保持されると期待されること,並びに,それ以外の場合はそもそも電界ドーピング現象が無機の場合と大きくは異ならないと期待されることがわかった。 一方,電界ドーピング効果の実験的評価を行うことを計画した。測定法としては,電界変調型の反射吸収分光法を中赤外領域に適用することとした。この目的で,フーリエ変換赤外分光光度計の改造を行い,スキャン毎に電界のon/offを切り替える疑似ダブルビーム型と,スキャン速度に比べて充分速い周期で電界のon/offを行うLock-in検出型の二手法が可能となるようにした。試料としては,金蒸着膜上にアルキル置換TCNQのLB膜,脂肪酸のLB膜,BO-脂肪酸の混合LB膜を順次積層した4層構造デバイスを用いることとした。 上述の四層デバイスに疑似ダブルビーム型手法を適用したところ,電界のon/offに伴う赤外吸収スペクトルの変化が検出された。但し,観測された変化は可逆性が不完全で,電界印加に伴う電流も予想外に大きかった。従って,このスペクトル変化は電界ドーピング効果の他に電気化学的効果をも反映していると考えられる。現在,疑似ダブルビーム型の適用や,印加電界の最適化などにより,スペクトル変化を電界ドーピング効果による成分と電気化学的効果による成分とに分離することを試みている。
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Research Products
(4 results)