2006 Fiscal Year Annual Research Report
電子シンクロトロンにおける高調波加速空洞を用いた大強度ビームの高安定化
Project/Area Number |
16560040
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
日出 富士雄 東北大学, 大学院理学研究科, 助手 (60292207)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
濱 広幸 東北大学, 大学院理学研究科, 教授 (70198795)
河合 正之 東北大学, 大学院理学研究科, 助教授 (60374899)
武藤 俊哉 東北大学, 大学院理学研究科, 教育研究支援者 (10431496)
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Keywords | 電子シンクロトロン / 高調波加速空洞 / RF |
Research Abstract |
本研究は、東北大学原子核理学研究施設にある1.2GeVストレッチャー・ブースターリング(STBリング)を用いて、電子シシクロトロンにおいて高調波加速空洞の影響を研究したものである。 ビームテストに先立って、まずテストベンチにおいて高調波空洞の電気的特性の測定や真空リーク試験を実施した。またビームテストの準備と平行して、STBリングにおけるビーム不安定性に関して、マシンスタディーを行った。この結果、周回周波数の24倍に当たる3.6GHz付近にビーム不安定性に起因すると考えられる非常に強いシンクロトロン振動の信号を確認できた。このビーム不安定性が主高周波空洞の高次モードに起因する可能性について検討を進めたが、空洞それ自体には、該当するような高次モードは存在しないため、空洞と両端のビームポートが一体となって共振器を構成している可能性が高いと考えている。またSTBリングでの高調波空洞の影響について、モデル計算とトラッキングシミュレーションによる評価を行った。この結果、空洞の数が少なくとも、もう1台必要な可能性が高いとの結論を得たが、モデル計算はあくまでも近似的な取り扱いであり、必ずしも全てを正確には予言できないので、実際に高調波空洞1台をSTBリングにインストールし、その影響を実験的に調査した。その結果、周回ビームの電流量を増やすことはできなかったが、1.2GeVへの加速後のビームについて、10mA程度に閾値が見られていたビーム不安定性を抑制することに成功した。現在、このビームの振る舞いをより深く理解すべく、より詳細なモデル計算の準備を進めている。また、これらの結果を踏まえて、今後はビーム加速のプロセスにおいての高調波加速空洞の影響を研究する予定である。
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