2004 Fiscal Year Annual Research Report
時間分解分子振動スペクトル観測による超音波キャビテーション下反応の解明
Project/Area Number |
16560044
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
崔 博坤 明治大学, 理工学部, 教授 (30143530)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平岡 和佳子 明治大学, 理工学部, 助教授 (00212168)
斎藤 繁実 東海大学, 海洋学部, 教授 (50091690)
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Keywords | 超音波 / キャビテーション / ソノルミネッセンス / OHラジカル |
Research Abstract |
超音波キャビテーションによって発生する気泡の圧壊から生ずる発光現象を解明するため、発光スペクトルの測定、ラマン散乱法による分子振動スペクトル測定を行った。超音波周波数110kHz用の振動子・石英セルからなる試料部、インピーダンス整合器を製作し、電力をモニターすることによりキャビテーション発生に最適な振動条件を決定した。超音波出力を熱的に測定する場合、試料の溶存気体量に影響されることが明らかになった。 アルゴンガス飽和した水からの発光スペクトル測定を行い、OHラジカルからの310nmピークを観測することに成功し、さらに290nm,340nmにもサブピークが存在することがわかった。これはOHラジカルの電子・振動準位間遷移を考慮することによって説明された。OHラジカルの消去剤として知られるエチルアルコールを加えると発光量は急激に減少することがわかり、微量のアルコールが気泡内で蒸発し、発光機構に大きな役割を果たすことが明らかになった。超音波周波数1MHzの実験では、アルコールがより顕著に影響することがわかった。 超音波周期と発光が同期しているかどうかを調べた。発光時間は1ナノ秒以下と非常に短いのでパルス測定することにより、超音波周期1回に対して2度発光することがわかった。気泡の振動をRayleigh-Plessetの式から計算した結果、初期気泡径によっては1周期に2度、気泡径が最小になる場合があることが示された。 以上の結果をもとに、最も発光が強い条件下でラマン散乱測定を行った。OH伸縮振動のスペクトルに注目し、超音波オフの場合のスペクトルとの差分をとると、3500カイザーにわずかな差が観測された。ここはOHラジカルの伸縮振動に相当するので、もしそれがOHラジカルからのスペクトルだとすれば、初めてOHラジカルを実時間で観測したことになり、発光現象解明に期待できる。
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Research Products
(1 results)