2006 Fiscal Year Annual Research Report
数式処理による保存力学系標準化理論逆問題の展開と理工学への応用
Project/Area Number |
16560050
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Research Institution | Future University-Hakodate |
Principal Investigator |
上野 嘉夫 公立はこだて未来大学, システム情報科学部, 教授 (80201953)
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Keywords | 保存力学系 / 標準化 / 逆問題 / 数式処理 / 量子計算 / ジョセフソン接合 |
Research Abstract |
今年度は,本研究課題最終年度として,課題名にも含まれている「理工学への応用」にチャレンジした.応用対象を探る分野としては,代表者もアルゴリズムの力学的な視点から興味を持っており,かつ,世界規模で極めて盛んに研究されている量子計算分野に設定した.この分野に関連の深いハミルトン力学系(保存力学系の典型)は,主として量子計算デバイスの実現に関する諸研究において発見が期待される状況であった.各種の文献や,最新の研究論文などを幅広く探索した結果として,量子計算素子の極めて有力な候補であるジョセフソン接合素子を4個で組んだ「プリズムキュビット系」が,我々の標準化とその逆問題の適用対象となることを見出した.プリズムキュビット系の4次までの標準化逆問題の解を調べたところ,ベルトランド・ダルブー条件を満足する1径数エノン・ハイレス(HH)系を特殊解として含むことがわかった.すなわち,量子デバイスと銀河系モデルという見かけが全く異なる分野で,力学特性が同じものが発見できた.現在,論文の準備段階である.また,この結果は,本課題に関する代表者自身の先行研究において2000年に論文発表されている定理の一般化の例とも解釈できるので,今後の課題である. 今回の応用例発掘の過程では,量子計算の力学系的視点からも得るところは大きく,量子情報空間上のある種の勾配系が,古典統計多様体上の勾配系の「量子化」として意味づけられることがわかった.その成果は,Czechoslovak Journal of Physicsに掲載された他,幾何的な速報がPhysics of Atomic Nucleiの2007年4月号に掲載予定である.
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Research Products
(1 results)