Research Abstract |
本年度,本研究では,不完全な結合状態にある境界面を有するプレストレスを受けた非圧縮性層状対称複合材料を対象として,その複合材料中の反対称調和波の伝播特性について検討した。対象とする複合材料は,2種類の異なる材料から構成され,それぞれは非圧縮性,等方性の弾性材料である.本研究では,不完全な結合状態にある境界面はせん断バネ抵抗モデルで表現しており,完全固定や完全すべりの境界面の場合の検討にもそのまま適用可能である.分散関係は、増分境界値問題を定式化し,伝播マトリックス法を構成することによって評価した.その結果,反対称と対称の波の発散関係の違いは,内側の層に関係する伝播マトリックスの要素だけであり,低波数限界や高波数限界の反対称波の発散曲線の挙動は,対称波と類似していることが明らかとなった.特に,低波数限界では,完全固定と不完全固定の境界面のケースで,初期モードのみ有限な位相速度が存在し、その他の高次元モードでは、無限の位相速度を持っていることを示した.一方,完全すべりの境界面を持つケースの低波数領域では、初期モードと第二次モードの両方に有限な位相速度が存在する.さらに,低波数領域の無限な位相速度を持っている高次モードにおいて、カットオフ振動数を計算するための式を求められ,高波数限界では,初期モードと高次モードの位相速度は表面波か境界面波の位相速度か化合成物の限界位相速度になる傾向があることを示した.また,分岐方程式は発散関係から初期モードか第二次モードに対応している安定領域か不安定領域を分ける中立曲線を求めることができ,その解析例として,材料をMooney-Rivlinモデル,Vargaモデルで表現した場合の結果を示した. 本研究では,以上の検討に加え,発展的な問題として不完全な結合状態にある境界面を有するプレストレスを受けた圧縮性の層状複合材料中の反対称調和波及び対称調和波の伝播特性についても検討を初め,次年度継続的に検討を進める予定である.
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