Research Abstract |
平成16年度においては,動的条件下での骨折様式の高精度予測を可能とする構成式モデルを定式化した.すなわち,粘塑性構成式と等方損傷力学の組合せから成る枠組みを,Tsai-Wu基準や横等方性,CarterとHayesの弾性係数-ひずみ速度関係等の導入によって修正し,骨の変形・強度特性に関する異方性,引張りと圧縮の非対称性,それらの関係のひずみ速度依存性を表現できるようにした.平成17年度には,まず,このモデルを有限要素解析コードLS-DYNA Ver.970へ組み込む方法について検討した.その結果,ユーザサブルーティンを利用すれば可能であることがわかり,実際にそのためのモデルの計算アルゴリズムを開発した.組み込みの妥当性を検証するため,一要素の6面体モデルに種々の荷重条件を与えて解析を実施し,構成式モデルに同一荷重条件を与えて直接計算した場合と比較した.その結果,両者はほぼ完全に一致し,組込みが妥当であることを確かめた.ついで構成式モデルの有効性を示すため,定式化したモデルと従来モデルを用いて,足関節に軸方向衝撃が加わる場合についてパラメータスタディを行い比較した.すなわち,自動車前面衝突時に急ブレーキを踏んだ際のペダル侵入を想定して,種々の方向と速度の軸方向衝撃を足関節に与え,傷害の部位,程度,骨折様式を詳細に検討した.その結果,新しく定式化したモデルは,傷害部位,程度,骨折様式のいずれに対しても,従来モデルに比べてより死体実験結果に近い予測結果を与え,今後の衝突シミュレーション解析に極めて有用であることを確認した.
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