2004 Fiscal Year Annual Research Report
サブグレインの自己組織化を考慮した超微細粒メタル創製のための転位-結晶塑性解析
Project/Area Number |
16560078
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
志澤 一之 慶應義塾大学, 理工学部, 教授 (80211952)
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Keywords | 転位セル / サブグレイン / 自己組織化 / セル再分割 / 超微細粒メタル / マルチスケールモデリング / 反応-拡散方程式 / 結晶塑性解析 |
Research Abstract |
外部負荷とともに単結晶内に誘起されるセルおよびサブグレインの自己組織化を表現する反応-拡散方程式に,単結晶の3段階硬化過程における応力情報を反映させるために,反応-拡散方程式の各速度係数を分解せん断応力の関数として表現する応力効果係数モデルを提案した.その際,転位ダイポールの消滅速度がセルの再分割に深く関係していることを示した.本モデルを用いることにより,応力の増加に伴うセルの形成,セルの再分割およびサブグレインへの遷移に関する転位パターニングを差分法(FDM)を用いて再現した.次に,上述の計算で得られた転位密度情報を結晶塑性論の硬化則に導入するとともに,転位の平均飛行距離モデルとして,従来の修正ZeegerモデルをステージIIIまで拡張した新たなモデルを提案することで,転位組織形成と結晶の変形過程を連成させた転位-結晶塑性モデルを構築した.また,本モデルをAl単結晶平板の単純引張問題に適用し,マルチスケール結晶塑性FDM-FEMシミュレーションを行った.得られた結果において,ステージIIで形成された数μ程度のセルが同ステージ後半で再分割され1μ程度になること,およびステージIIIにおいて転位壁に沿って多数のマイクロシアバンドが誘起される様子を再現した.また,転位壁で囲まれた粒の結晶回転角を調べることにより,その粒界が小傾角粒界であること示し,発現した転位パターンがサブグレインであることを明らかにした.さらに,不動転位と可動転位の拡散係数比を変化させることなく,両拡散係数の値のみを当初から減じることにより,再分割されるセルサイズならびに誘起されるサブグレインサイズをサブミクロンオーダーまで超微細化できることを指摘した.以上のようにして,超微細粒多結晶メタル創製過程を結晶欠陥レベルから再現するマルチスケールシミュレーション手法の基礎を築いた.
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Research Products
(5 results)