2004 Fiscal Year Annual Research Report
場の理論に基づくマルチスケール多結晶塑性モデリングに関する研究
Project/Area Number |
16560084
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
長谷部 忠司 神戸大学, 工学部, 助教授 (20237994)
|
Keywords | 場の理論 / 結晶塑性論 / ひずみ勾配 / 非リーマン塑性論 / ゲージ場理論 |
Research Abstract |
多結晶モデルにおいて最も基本的な単相材について,結晶粒の数が多結晶材の変形挙動に及ぼす影響を明らかにした.解析手法には有限要素法を用い,中心部に23個の粒を含む代表領域を設定して同領域を囲む粒数を系統的に増加させた.すなわち,23個モデルを基準に,77,163,613,および1661個のモデルを考え,30%の引張り変形を与えた.要素には2次元Cross Triangle要素を用い,FCC金属を模擬した2あるいは複数すべり系に対する結晶塑性モデルを適用した.まず解析の第一段階として結晶粒形状を六角形とすることで形状等の形態因子を排除し,また優先方位等も導入せずランダム方位を仮定して純粋に粒数の影響を調べた.粒数の増加に伴い,粒ごとの応力-ひずみ応答には大きな"ゆらぎ"が発達することが明らかとなった.さらに応力,ひずみを偏差成分および静水圧(体積)成分に分解し,それぞれのゆらぎに及ぼす寄与を詳細に調べた結果,応力では静水圧成分,ひずみでは主として偏差成分のゆらぎが主であることがわかった.上記解析結果およびグラフ理論に基づく考察から,場のゆらぎを支配する新たなパラメータとして応力関数テンソルおよび不適合度テンソルを提案した.前者は,マクロには観測されない応力場のゆらぎを記述し,局所的に応力平衡から逸脱した成分と解釈することができる.一方後者は,局所的にひずみの適合条件からの逸脱の度合いを表し,ひずみ場のゆらぎを記述する.次に最も簡単な二相合金のモデルとして,硬質粒を一定の体積分率で含む多結晶モデル,さらには結晶粒径の分布を系統的に変化させた場合についても同様の解析を行い,上記の各ゆらぎに及ぼす影響を通して,こうした一般の場合の多結晶塑性モデリングへの適用を試みた.
|
Research Products
(4 results)