2004 Fiscal Year Annual Research Report
耐環境・耐フレッティング疲労アルミニウム合金創成に関する研究
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16560087
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Research Institution | Toyama National College of Maritime Technology |
Principal Investigator |
水谷 淳之介 富山商船高等専門学校, 電子制御工学科, 助教授 (70166015)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西田 友久 沼津工業高等専門学校, 機械工学科, 教授 (60156081)
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Keywords | フレッティング疲労 / 塩化カルシウム水溶液 / アルミニウム合金 / 通常疲労 / バレル研磨 / ブラスト処理 / 接線力係数 / 腐食疲労 |
Research Abstract |
アルミニウム合金のフレッティング疲労強度に関する基礎的データを収集した。材料は鍛造アルミニウム合金A6061材と鋳造アルミニウム合金AC4C-T6材を用い、大気中及び冬期間に道路の凍結防止材として散布する塩化カルシウムの水溶液中で応力比R=-1、周波数10Hzの条件で通常疲労およびフレッティング疲労試験を行った。 大気中では鍛造アルミニウム合金の通常疲労強度は鋳造材のそれよりも疲労限で約60MPa高いが、フレッティング疲労では両材料の疲労限はほぼ等しかった。これは通常疲労では鋳造材の場合、き裂の発生は材料内に存在している鋳造欠陥やひけ巣がき裂発生源となり疲労強度が低下したものと考えられる。 一方、腐食環境である塩化カルシウム水溶液中では鍛造材の方が鋳造材よりも疲労強度が低下し、大気中の結果と逆転している。鍛造材の表面観察より、表面には腐食による多数の孔食が発生しており、これらが疲労き裂発生寿命を早めたものと考えられる。特フレッティング接触片の接触部位は接触域全面が腐食溶解していることと、3週間予め試験片を腐食環境中に浸漬したのち大気中でフレッティング疲労試験を行っても、疲労寿命の低下が観察されなかったことから、接線力(摩擦力)と腐食溶解の相互作用により急激なフレッティング疲労強度の低下を誘発していると考えられるが、詳細についてはまだ不明である。 フレッティング疲労試験中の接線力係数は大気中及び純水中では鍛造・鋳造材とも約0.6であるのに対して、塩化カルシウム溶液中では実験開始時から次第に低下し0.5〜0.4となった。これは腐食生成物が接触面間の潤滑剤の役割を果たしていることになり、力学的な作用を軽減している。 表面改質としてアルミ合金表面をバレル研磨とブラスト処理した試験片を準備し、疲労強度に与える効果を調査した。その結果、Nf=10^6cy.の領域では疲労寿命はバレル研磨材が未処理材の約2倍となる効果があったが、ブラスと処理材には顕著な効果は現れなかった。低応力振幅域では疲労限で両材料とも約1割向上した。
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