2006 Fiscal Year Annual Research Report
炭素鋼の高速冷間加工における、ミクロ組織形態に応じた変形挙動の予測に関する研究
Project/Area Number |
16560091
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Research Institution | The University of Electro-Communications |
Principal Investigator |
久保木 孝 電気通信大学, 電気通信学部, 助教授 (90361823)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村田 眞 電気通信大学, 電気通信学部, 教授 (10106883)
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Keywords | 時効 / 炭素の拡散 / 時効硬化 / 炭素の伝達係数 / フェライト分率 / すえ込み加工 / 圧造加工 |
Research Abstract |
3年間で、以下の3つのフェーズからのアプローチを試みた。 1.ミクロ組織内の炭素拡散解析モデルの構築、2.1を考慮した高速冷間加工での変形解析、3.画像処理によるデジタルマイスター構築 平成18年度は、平成16〜平成17年度での解析や実験の補間を実施すると共に、以下の手順で、ミクロ組織形態を判定するための3.「画像処理によるデジタルマイスター構築」に注力した。 (1)ミクロ組織形態と時効進行の関係の調査 平成17年度に開発した「不均一な温度上昇とミクロ組織内の炭素拡散を考慮可能な総合解析モデル」では、複雑形状を有するミクロ組織形態をベースに、手作業により白黒の二値化データを作成する必要がある。そこで、解析の省略・簡略化を目的とし、ミクロ組織形態と解析によって求められる時効進行の関係を調査した。 (2)ミクロ組織の特徴抽出 (1)のデータを基に、時効進行に影響を及ぼすミクロ組織形態の支配因子を抽出した。支配因子として炭化物であるセメンタイトの面積分率、縞状のセメンタイトとフェライトから構成されるパーライトの面積分率、セメンタイトとフェライトとの境界線長さと時効進行の相関を調査した。その結果として、通常の熱処理で得られるミクロ組織の場合、セメンタイトとフェライトの境界線長さが時効進行と最も強い相関関係を示した。 (3)データベースを利用した時効進行の予測 (2)で得られた支配因子を参考に、ニューラルネットワークを利用して、実際のミクロ組織形態から時効進行の程度を予測するためのシステムを開発した。 (4)変形特性の予測 (3)の結果に基づき、実際のミクロ組織に関連づけられる典型的なミクロ組織形態を用いて、塑性加工後の成形形状を予測するシステムを構築した。 尚、産業界から多数の参加者が集う日本塑性加工学会伸線技術分科会の研究会にて、本研究に携わった学生の三宅章生君が研究成果を発表し、奨励賞を受賞した。
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Research Products
(4 results)