2004 Fiscal Year Annual Research Report
液状分子吸着による硬度低減効果を利用したセラミックス表面せん断加工の基礎研究
Project/Area Number |
16560111
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
加納 誠介 独立行政法人産業技術総合研究所, 先進製造プロセス研究部門, 主任研究員 (50356812)
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Keywords | 炭化タングステン / 液状分子 / スクラッチ試験 / 機械加工 / レーザー照射 / 単純切削試験 / 潤滑 |
Research Abstract |
光学部品成形用型材料や半導体基盤材料として注目されている炭化タングステンを機械的に超精密加工するための基盤技術研究として、平成16年度はスクラッチ試験による液状分子塗布表面の表面破壊試験を中心に、清浄炭化タングステン表面への液状分子の吸着状態や単純切削試験による液状分子塗布表面の加工精度について調べた。 スクラッチ試験による液状分子塗布表面の表面破壊試験において、これまでに表面硬度の低減効果が認められた液状分子と市販の加工液をそれぞれ塗布し、荷重や加工深さ、引っかき抗力等の関係を、スクラッチ試験(既存設備を使用)により無塗布試験片と比較して調べた。スクラッチ試験では、極微荷重から表面破壊荷重(横方向へのクラックの発生や進展)までを連続的に試験できるため、破壊の限界を見ることもできる。試験条件の最大荷重近傍ではその違いが明らかで、無塗布試験片では加工痕周辺に破壊が認めらたが、液状分子や市販の加工液を塗布した表面では、ほとんど破壊は起こっていなかった。液状分子と市販の加工液を引くらべると、いずれも潤滑の効果が大きく液の種類による明確な差は見られなかった。 清浄炭化タングステン表面への液状分子の吸着計測では、レーザー照射後の表面が大気に触れることを避けるため、表面に液を塗布した後にレーザーの照射を行った。このため、まず液に変化が出るかどうかを調べたが、変化はなかった。また、16年度は赤外分光分析による表面吸着分子の状態分析に着手した。 単純切削試験による液状分子塗布表面の加工においては、スクラッチ試験を利用し、一定荷重で圧子を押し込みながら試験片を水平に移動する試験のための準備を行った。圧子は稜数の異なる2種類のビッカース圧子を用意し、それぞれによる差を17年度に明らかにしていく。
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