2005 Fiscal Year Annual Research Report
MQL加工に適する合成系エステル潤滑剤の切削性能とトライボロジー特性
Project/Area Number |
16560121
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Research Institution | Kagawa University |
Principal Investigator |
若林 利明 香川大学, 工学部, 教授 (00294736)
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Keywords | エコマシニング / MQL加工 / 合成エステル / トライボロジー / ニアドライ加工 / 切削加工 / 切削油剤 / 潤滑剤 |
Research Abstract |
本研究は、MQL加工に適する合成系エステル油剤のトライボロジー特性と切削性能を調べ、その作用メカニズムを明らかにすることを目的としている。本年度に得られた研究成果は以下のとおりである。 1.重難切削加工に適用可能な合成系エステルの探索とトライボロジー特性の評価 平成16年度の評価成果にしたがって選定した3種類の合成系エステルのトライボロジー特性を詳しく検討するため、摩擦係数に対するすべり速度の影響を調べた。その結果、一分子中のエステル結合が多いものほど潤滑効果に優れるという傾向は実験範囲のすべり速度で全般的に認められ、高速域でより顕著なことがわかった。 2.実用MQL加工試験による切削性能の評価 上記3種類の合成エステル油剤について、平成16年度に確立した合金鋼の旋削による実用MQL加工試験法で切削性能を評価したところ、油剤間における切削性能の優劣がトライボロジー特性の序列と一致する結果が得られた。さらに、難削材の一種である4種類のステンレス鋼(JIS SUS304,SUS410,SUS430,SUS630)を被削材として実用MQL加工試験を行った。その結果、MQLはSUS630には有効でないが、SUS304、410、430に適用すると工具寿命を大幅に改善できることがわかった。一方、MQLによる切削抵抗の低減効果を調べたところ、SUS34を、SUS630ではMQLの優位性が確認できなかったが、SUS410、430については良好な切削抵抗の低減効果が低切削速度領域で認められ、とくに切込みならびに送りが大きい範囲でより顕著であった。 3.エステルの潤滑挙動におよぼす吸着特性の影響の考察 鋼新生面への各種雰囲気気体の吸着挙動を調べた結果、不活性ガスである窒素やアルゴンは吸着能をもたないのに対し、酸素が多く存在するほどエステルと酸素の両者の吸着活性が上昇し、潤滑膜形成の点で有利になることが明らかとなった。また、この現象が鋼のMQL加工においても適用でき、キャリアガス中の酸素濃度が高いほど良好な切削性能が得られることを究明した。
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Research Products
(3 results)