2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16560122
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Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
大野 信義 佐賀大学, 理工学部, 教授 (00039265)
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Keywords | トライボロジー / 潤滑油 / 高圧物性 / 状態図 / 自由体積 / EHL / 表面損傷防止 / トラクション制御 |
Research Abstract |
○本研究の基礎となるのは各種潤滑油の状態図である.まず,低温光弾性試験,高圧密度試験より作成した80℃,1.2GPaまでの状態図を基に次の結果が得られた. 「状態図に基づくEHL停止後の閉じ込め油膜流出過程解析」 t-CVTは,運転停止時に油膜破断を生じ,再起動時に表面損傷を惹起させることが推測される.光干渉法によりEHL油膜厚さの実測を行った結果,運転停止時の閉じ込め油膜厚さが粘度圧力係数と粘度および減加速度の積によって規定されること,また,閉じ込め油膜の流出時間がヘルツ圧力下での試料油の粘弾性固体転移温度と実験油温の差で整理出来ることを明らかにした.この結果は「トライボロジー会議 秋 鳥取」で公表した. 「軸受寿命に及ぼすフッ素系潤滑油の影響」 フッ素系潤滑油(PFPE油)は熱的,化学的に極めて安定かつ不活性であり,半導体プロセス装置.宇宙機器,磁気記憶装置等に使用され,最近では高温用潤滑油として自動車の軸受にも使用が検討されている.そこで,分子構造の異なるPFPE油(パーフルオロポリエーテル)3種類について,転がり軸受寿命試験を行った結果,永久粘度低下を生じたF油が最も短寿命となること,また,状態図を基礎とした準静的条件下での粘度-温度-圧力関係式の構築ならびに弾性流体潤滑(EHL)条件下での転がり油膜厚さとスクイズ油膜厚さの測定を行い,永久粘度低下のメカニズムを究明した結果について,ASME/STLE IJTC Long Beachで公表した.この結果は即座に宇宙航空研究開発機構(JAXA)に伝わり,宇宙ステーションのセントリフュージ(生命科学実験施設)で使用が計画されているフッ素系グリース基油の選定変更へと波紋を齎した. ○DACによる150℃ 2.5GPaまでの状態図の作成 「ダイヤモンドアンビルセル(DAC)による超高圧流体物性測定装置の開発」 本年度購入したDACにより150℃,2.5GPaまでの状態図の作成が可能となった.DACの使用においては圧力検定が最も困難である.ここでは第1段階としてガスケットの変形量と高圧下での水および直鎖炭化水素の凝固点を利用し,圧力検定曲線を作成した.この圧力検定曲線を用いてDACによるナフテン系鉱油の高圧密度を行った結果,従来のプランジャ型高圧密度試験の結果とほぼ一致した.これにより多種多用な潤滑油の広範囲の温度-圧力条件下での状態図の作成が可能となった.高圧討論会での発表を計画している.
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Research Products
(6 results)