2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16560128
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
富岡 淳 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (40217526)
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Keywords | トライボロジー / メカニカルシール / 血液 / 定常流型人工心臓 |
Research Abstract |
人工心臓の中でも,定常流型人工心臓は拍動型人工心臓と比べて構造が簡略なため,小型化が容易,効率が良い,動作不良を起こしにくいなどの利点をもっている.しかし,定常流型人工心臓を開発する上での重要な課題として,血液の軸シール問題がある,この問題を解決するために,クールシールシステムをともなった血液密封用メカニカルシールが提案され,その開発が進められてきた.しかし,シール摺動面の表面粗さは,一般産業機械の経験をもとに決定されており,実際の定常流型人工心臓の軸シールとしてどのような値が最適であるかの検討はなされていない.そこで本研究では,このような特殊な状況を考慮しつつ,摺動面の表面粗さが軸シール特性に及ぼす影響を明らかし,定常流型人工心臓用メカニカルシールの設計の指針を得ることを目的とした. その結果,算術平均粗さの異なった3種類(Ra=0.009,0.088,0.170)のシートリングを用意し,その摩擦損失トルクと密封溶液およびクールシール液の漏れ量を計測した.最も摩擦損失トルクの少なかったものはRa=0.170,最も漏れ量が少なかったものはRa=0.009であり,最適な表面粗さを決定することが困難であった.また,密封溶液として,血液と純水では表面粗さが摩擦損失トルクに及ぼす影響が異なった.以上のことより,表面粗さの設計のみを考えても,いろいろなことがトレードオフの関係にあり,さらに医学的検討も含めた最適設計が重要であることが明らかになった.
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Research Products
(1 results)