2004 Fiscal Year Annual Research Report
摩耗粒子の熱分解分析によるPEEK樹脂軸受の摩耗状態の評価と異常診断への応用
Project/Area Number |
16560131
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Research Institution | Hachinohe National College of Technology |
Principal Investigator |
赤垣 友治 独立行政法人国立高等専門学校機構八戸工業高等専門学校, 機械工学科, 教授 (20149909)
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Keywords | トライボロジー / PEEK樹脂軸受 / 摩耗粒子 / 熱分解分析 / 焼付き / 潤滑摩耗 / SOAP分析 / 異常診断 |
Research Abstract |
油潤滑下における炭素繊維強化PEEK複含材料(PEEK Comp.)とホワイトメタル(WJ2)の摩擦摩耗特性を,すべり速度15(m/s),荷重範囲294〜1177(N)の過酷な実験条件下で調べた.また,熱分解法を用いて潤滑油を分析した.以下に得られた結果を示す. (1)WJ2,PEEK Comp.は共に,荷重力が増加すると,ある荷重で低摩擦係数領域から高摩擦係数領域に遷移し焼付きを生じた.焼付き開始荷重は,WJ2,PEEK Comp.に対して各々,〜750(N),〜900(N)で,PEEK Comp.の方が高かった. (2)焼付きの発生によりWJ2の比摩耗量は,低摩耗率領域10^<-7>(mm^3/Nm)から高摩耗率領域10^<-6>へ急増した.PEEK Comp.の比摩耗量は,低摩耗率領域10^<-9>から高摩耗率領域10^<-8>まで急増した. (3)WJ2の焼付きの場合,リング及びブロック摩耗痕の表面粗さは,初期表面粗さよりも粗くなった.PEEK Comp.の焼付きの場合,ブロックのみ粗くなり,リング表面粗さはあまり変化しなかった. (4)WJ2は,リング温度が〜100(℃)を超えると混合潤滑から焼付きへと変化した.PEEK Comp.は,リング温度が〜100(℃)で流体潤滑から混合潤滑へ,180〜190(℃)を超えると焼付きへと変化した. (5)焼付きへ遷移する時の軸受特性数(ηω/Pm)は,WJ2に対して〜2x10^<-9>,PEEK Comp.に対して〜4x10^<-10>であった. (6)焼付きを生じた場合,WJ2摩耗痕内部では激しい条痕,出口部ではプレート状の大きな塑性流動層が観察された.PEEK Comp.摩耗痕内部では,激しい延性破断の痕跡と出口部では多数の長いワイヤー状やリボン状のせり出しが観察された. (7)熱分解分析法でPEEK樹脂摩耗粒子はフェノールに分解され,その検出は十分可能であった. (8)摩耗粒子分析法は,PEEK樹脂軸受のシビア摩耗プロセス,潤滑様式の変化を検出することが可能であることがわかった.
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