2005 Fiscal Year Annual Research Report
拡散液滴を利用したキャビテーション気泡クラスターの生成と音響発光
Project/Area Number |
16560138
|
Research Institution | The University of Electro-Communications |
Principal Investigator |
林 茂雄 電気通信大学, 電気通信学部, 教授 (60126357)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
畑中 信一 電気通信大学, 電気通信学部, 助手 (40334578)
|
Keywords | 音響キャビテーション / 拡散 / 粘性液滴 / 濃厚塩水溶液 / Mie散乱 / 確率過程 |
Research Abstract |
粘性液滴に含まれる空気が種となって生成するキャビテーションが、多泡性から単泡性に変化していく過程を実験的に調べることが本研究の目的である。比重がd1=1.26のグリセリンを水中(比重d2=1.0)の音響場の中に捕捉するには周波数と音圧の微調が必要であり、相当の熟練を要する。今年度はこの過程に内在する技術的困難の解消に力点を置いた。すなわち、d1とd2の差を小さくすれば微調なしで液滴を捕捉することができないか調べた。もし液滴が球の剛体とみなすことが出来れば、ストークスの公式によって落下速度は比重差d1-d2に比例するはずである。 媒質として、前年度の報告書に述べた濃厚塩溶液を選んだ。ただしコストと最高密度を考慮してヨウ化カリウムを溶質に選んだ。なお、脱気によって塩濃度が上昇するので、比重差は試料調製後でないと分からないという困難があった。 媒質中で発光が見られることを確認した後、発光キャビテーション気泡がある中にグリセリン液滴を導入し、液滴の動きを観察した。導入場所のひとつは近傍、もうひとつは上方の水面直下である。その結果、比重差が0.01でも剛体球の落下と同程度の速度で垂直に落下し、音圧による捕捉は出来なかった。むしろ、水面直下であれば横に広がった後に、拡散し濃度が薄まってゆっくりと落ちる現象が見られた。そしてその挙動は比重差にあまり依存しないという意外な結果であった。これらの過程の中で発光気泡がどう影響されるかをビデオ観察した。 その他、研究する中で遭遇した次の諸問題を解決した。まず、デジタルオシロスコープのパルス波形のふらつきを、真のふらつきとトリガータイミングのゆらぎの協同的確率過程とみなして数値シミュレーションを行ない、Naser and Hayashiの論文にあったパルス列の再解析を行なった。そしてキャビテーション気泡とごみ粒子との相互作用が小さい場合には、デジタルオシロスコープ上でパルス高さがゆらいでいても、真の発光強度は一定であると解釈しても差し支えないという結論を得た。 さらにMie光散乱でよく採用されている「散乱強度∝気泡半径の2乗」を数値計算で精査し、散乱角に依存して2乗からずれること、90度であればほぼ2乗とみなせることを明らかにした。
|
Research Products
(3 results)