Research Abstract |
液中の微粒子の集合,除去,分離のために超音波の定在波を適用することが考えられる.しかし,従来の研究では,分離や集合の限界となる条件が必ずしも良く分かっていない.本研究はそれらの限界や条件を実験および力学的な考察に基づいて明らかにすることを目的としている. 従来,Yosiokaらより,静止液中の粒子が超音波の定在波の腹の位置に集まるか節の位置に集まるかを予測する式が提出されている.また,水平方向に超音波が照射される場合,粒子は鉛直方向の筋状に集まるという結果が報告されていた.ところで,本研究では,矩形形状で上部が大気解放された容器(1辺が10cmオーダー)内の水中に分散する直径50〜150μmのアルミニウム微粒子に水平方向に超音波を照射し定在波を形成させた.その結果,周波数f=100kHzでは,粒子が理論どおりに鉛直方向の筋状に集まることを確認した.しかし,出力100Wでf=23kHzの超音波の場合には,定在波の腹の位置煮に点状に集まることを明らかにした.高速度ビデオによる可視化によって,超音波照射で生じるキャビテーションに起因する流れがある点に向かっていることが観察された.さらに,近傍の粒子がその流れにのってその点に集まっていることが分かった.また,連続的に粒子を投入し粒子濃度がやや高い場合,粒子が集まって大きくなり急に沈降し,再び粒子が集まって沈降することを繰り返すことがわかった.さらに,上記の系で,超音波定在波の振幅と周波数を変える系統的な実験を行った.同一周波数でも超音波の音圧の振幅によって,粒子が筋状に集まる場合,点状に集まる場合,粒子の集合しない場合が,存在することがわかった.今後,粒子に働く力を分類し,音圧,流体速度,粒子速度,液の乱れなどの測定データから粒子に働く各々の力を評価して,異なる集合状態になるメカニズムを明らかにし,各々限界を明らかにする予定である.
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