Research Abstract |
本研究は,従来とは原理の異なる方式で液中の微粒子を除去するために,超音波放射力を利用して,混相流(微粒子と液)の粒子を局所に集合させる現象に関するものである.これは基礎的な現象そのものが解明されているとは言えない状況である.従って,本研究の目的は,超音波を照射する際,粒子集合現象の分類を行い,異なる形態で集合するメカニズムを明らかにすることである. 実験では上部の大気開放された矩形容器の内部の静止水に,粒子直径の異なるアルミニウム粒子,アルミ箔製粉末,架橋アクリル粒子のいずれかを投入した混合液に超音波が照射される.容器の側壁に設置された超音波振動子から,水平方向に周波数f=22kHzあるいは96kHz,出力N=3〜30Wの超音波を照射して,超音波定在波が水中に作られた状態でこれらの粒子挙動を調べた.この超音波の照射方向をZ方向とする.鉛直上向きの方向をY方向とする.その結果,主に次のことが得られた. 音圧分布について, (1)Z方向には従来から知られているような正弦波状の音圧分布が得られた.(2)Y方向にも,波形の音圧分布が得られた. 粒子の集合について, 筋状の集合,粒子塊状の集合,点状の集合,および粒子が集合しない場合が観察され,分類された. f=22kHzの場合---(1)アルミ箔片において,キャビテーションが発生せず,出力の低い場合は,超音波の半波長毎に筋状に集合した.(2)直径d=50〜150μmのアルミ粒子において,キャビテーションの影響が強い場合,粒子塊として集合することを明らかにした. f=96kHzの場合---(3)d=50〜150μmのアルミ粒子は,点状に保持されることを明らかにした.(4)d=50μm以下のアルミ粒子及びアクリル粒子は,音響流を抑えることによって筋状に集合させることができた. 集合のメカニズムについて 粒子が,粒子塊状,点状,筋状と異なる集合,粒子集合が起こらない場合に対して,粒子にかかる複数の力を考察し,それら力の大小関係によって,粒子によらず異なる形態に集まることが定性的に説明できた.
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