2006 Fiscal Year Annual Research Report
低温燃焼におけるハロン代替消火剤の性能評価と抑制反応メカニズムの解明
Project/Area Number |
16560194
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Research Institution | Sophia University |
Principal Investigator |
高橋 和夫 上智大学, 理工学部, 講師 (10241019)
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Keywords | ハロン代替消火剤 / ハイドロフルオロカーボン / 急速圧縮機 / 着火誘導期 / 反応中間体 / ヘプタン / HFC227ea / GC-MS |
Research Abstract |
本年度は,n-ヘプタンの低温着火に及ぼすHFCの添加効果について検討を行うため,本研究で新たに製作した急速圧縮機を用いて着火誘導期(τ)の測定を行った.最も有名なHFC消火剤であるHFC227ea(CF_3CHFCF_3)を最大1.45%添加しても,τは無添加時と変わらなかった.我々はこれまでにn-ブタン着火におけるHFC227eaの添加効果を調べ,着火促進作用があることを見出している.今回,n-ヘプタン着火で添加効果が見られなかったのは,n-ブタンのような低級炭化水素に比べて反応性が高く,低い温度で着火に至るので,HFC227eaよりも先に分解してしまっているからと考えられる. 上述の仮説を検証するため,HFC227eaを添加したn-ヘプタン-酸素予混合気を着火温度(630K)以下に圧縮加熱し,圧縮前後の試料気体をGC-MSにより分析した.その結果,いずれの条件においてもn-ヘプタンの分解率はHFC227eaのそれよりも高くなり,n-ヘプタンがHFC227eaよりも先に分解していることが実験的に裏付けられた. さらに,着火温度以上において,着火誘導期に生成する反応中間体を検出するために急速圧縮機の改造を行った.観測部付近に大容量ダンプタンク(DT)を取り付け,圧縮前に両室を隔膜で仕切り,DTを真空にしておく.圧縮後,圧力センサーからの出力をトリガー信号として,隔膜を破裂させることにより,圧縮試料気体がDTに急速に流れ込んで断熱膨張し,着火直前の誘導期に起こっている反応を凍結させて反応中間体を検出することができる.現在,この装置の最終調整段階に入っており,正常に動作すれば大変多くの成果が期待できるため,本研究期間満了後の平成19年度においても引き続き研究を継続してゆく予定である.
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Research Products
(2 results)