Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大平 文和 香川大学, 工学部, 教授 (80325315)
平田 英之 香川大学, 工学部, 教授 (90304576)
橋口 原 香川大学, 工学部, 教授 (70314903)
吉村 英徳 香川大学, 工学部, 准教授 (30314412)
細木 真保 香川大学, 工学部, 助教 (50363180)
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Research Abstract |
本年度は,前年度まで試作した疲労試験機をもとに,新たにマイクロ疲労試験機を複数製作した。さらに,この試験機が発生する負荷荷重の大きさを検証評価するためのたわみ試験片を合わせて製作。さらに疲労強度に及ぼす試験片形状や寸法の影響を評価するための疲労試験片をそれぞれ寸法を変化させて作成した。いずれも製作プロセスは,Siフォト利祖プロセスで行った。また,試験荷重測定用のたわみ試験片については,そのたわみ量と負荷荷重の関係を明らかにするためのFEM解析も実施した。製作したマイクロ疲労試験機は,櫛歯型の静電アクチュエータによる駆動方式のものである。一つの試験機で左右二つの駆動部を有するようになっており,櫛歯型の静電アクチュエータで発生した力は,内部のリーフスプリングの反力と力が釣り合うようになっている。 製作した全ての試験機の左右の駆動部について,たわみ試験片により,電圧を加えた時の発生力を評価した。発生力は,いずれも概ね理論値に近い値となったが,櫛歯部のわずかなエッチング量の違いにより,試験機の左右の駆動部毎に理論値とのズレ量が異なっていた。これらを試験機の個性と考え,各試験機の左右の駆動部毎に補正係数を設定し,以降の疲労試験に用いることにした。 疲労試験結果のデータ解析については,従来の疲労試験のデータを分析し,疲労強度の強度レベルが試験片の寸法に依存して明らかに異なることが分かった。これに対し,今まで破壊力学的な検討を加えてきたが,今回新たに,最弱リンクモデルによる確率論的な検討も試みた。この検討のために,新たに4種類の大きさの試験片を作成し,今回製作した試験片を用いて即時破壊強度を評価した。実験の結果,即時破壊強度は,試験片の体積に依存して,体積が大きくなるほど強度が低下する傾向があることがわかった。この結果に対して,強度のばらつき分布をワイブル分布に当てはめて評価した。また,ワイブル統計を用いた最弱リンクモデルで強度の低下傾向を理論的に導いた。 最弱リンクモデルから理論的に導かれる強度の低下傾向と実験結果とは,良い一致を示した。このことから,マイクロ部材の強度の体積依存性は,本質的に最弱リンクモデルから理論的に導かれるような現象ではないかとも考えられる。
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