Research Abstract |
本研究では,沿面放電の照明やディスプレーなど面発光デバイスへの応用を目指して,沿面放電の制御技術を検討し,均一な面状沿面放電を安定に発生させるとともに,応用可能な輝度を得ることを目標としている。 本年度は,比較的低電圧での放電開始が期待されるNeガスを用いて,ガス圧力,背後電極の幅,印加電圧をパラメータとして,放電開始電圧,放電電流,放電時の消費電力等の電気的な測定,放電の発生と進展の光学的観測を行った。その結果,ガス圧10kPa〜40kPaの範囲において,Neガスを用いた場合,乾燥空気の場合に比べて,放電開始が約0.3kV低くなること,乾燥空気の場合に比べて,低電圧で放電が進展することが明らかになった。また,背後電極の幅を変化させることにより,線状,面状の沿面放電を得ることができた。面状沿面放電の発光領域は,印加電圧の増大とともに,空間にも拡がることが観測された。この発光は,石英ガラスにより制限された放電空間から外にも拡がることが見出され,光電離等の作用による可能性を指摘した。 さらに,面状沿面放電を均一に発生させるとともに輝度を向上させる手法の探査するためには,先ず,ガス・電離気体と固体誘電体との相互作用の実体の解明を図り,面状沿面放電の発生・進展メカニズムおよび放電発光メカニズムを正確に把握することが必要と考えられる。そこで,本年度,小型瞬間分光ユニットを導入し,実際に上述の電極・ガス誘電体の構成において,放電発光スペクトルの計測を開始した。
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