2004 Fiscal Year Annual Research Report
多環式化合物を添加したポリエチレンによる電気トリー発生の抑制
Project/Area Number |
16560268
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
山野 芳昭 千葉大学, 教育学部, 教授 (90134791)
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Keywords | 電気トリー / ポリエチレン / 添加剤 / 多環式化合物 / アントラセン |
Research Abstract |
多環芳香族系物質をLDPE(低密度ポリエチレン)に添加した材料を用いて、電気トリー(以下トリー)の発生電圧の上昇特性について検討を行った。実験に用いた添加剤は、naphtalene(Nf), anthracene(An), tetracene(Te), pentacene(Pn)および9,10bromo-anthracene(Br-An)である。現在までに得られた結果を以下示す。 (1)Anを0.5〜0.75wt%添加した試料のトリー発生電圧は、無添加試料と比較して3.5〜4倍程度の上昇がみられる。他の添加剤については、Nfを除いてトリー発生電圧の上昇がみられるものの、Anのような顕著な上昇効果はみられない。Nf添加試料のトリー発生電圧は無添加とほぼ同じ値である。ただし、Anの添加はトリーの進展速度を抑制する効果はないものと考えられる。 (2)An添加試料のみに見られるトリー発生電圧上昇の主原因は、添加剤分子のπ電子の励起によるキャリア電子の運動エネルギーの吸収効果とは考えにくい。また添加剤による電子のトラップ効果は交流課電におけるトリー発生電圧上昇の主原因とは考えにくい。さらには、各試料のDSCを測定した結果、添加剤の種類による吸熱曲線の顕著な変化は見られない。ただし、LDPE/Anのみ吸熱のピークが無添加より2℃高い温度で現れる。 (3)ガラス表面に溶融成形させて作製した試料表面をAPMによって観測した結果、An添加試料の表面は他の試料と比ベて凹凸がきわめて少ないこどがわかった。このことから、An添加試料において針電極とポリマーとの接触界面近傍におけるフリーボリュームの大きさは、他の試料と比べて小さいものと考えられる。このことがAn添加試料においてトリー発生電圧が上昇する主原因と考えられる。
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Research Products
(1 results)