2004 Fiscal Year Annual Research Report
窒化物系紫外域混晶半導体における励起子分子の局在化と光機能性
Project/Area Number |
16560274
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
山田 陽一 山口大学, 工学部, 助教授 (00251033)
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Keywords | 励起子 / 励起子分子 / 混晶半導体 / 局在化 / ストークスシフト / 2光子吸収 / 窒化物系半導体 / 励起子工学 |
Research Abstract |
混晶組成比を変化させた6種類のAl_xGa_<1-x>N薄膜(x=0.019,0.038,0.057,0.077,0.092,0,15)を対象として、時間分解発光分光法を用いることにより、励起子系輻射再結合ダイナミクスを評価した。励起子および励起子分子の発光寿命は混晶組成比xの増大とともに長くなり、x=0.1程度を超えるとその長寿命化が飽和する傾向を観測した。この結果は、混晶組成比の増大とともに励起子および励起子分子の局在化の度合いが増大していることを反映したものと考えられる。次に、励起子分子発光の励起スペクトル分光を行うことにより、混晶組成比に依存した励起子分子の結合エネルギーとストークスシフトを定量的に評価した。励起子分子発光の励起スペクトルには励起子分子の2光子共鳴が観測され、励起子共鳴ピークと励起子分子の2光子共鳴ピークとのエネルギー間隔に基づいて励起子分子の結合エネルギーを導出した。その結果、励起子分子の結合エネルギーは混晶組成比xの増大とともに線形に増大し、混晶組成比x=0.092の試料では16.6meVに達することを明らかにした。この値はGaNにおける励起子分子結合エネルギー(5.6meV)の3倍であり、混晶化、すなわち励起子分子の局在化により結合エネルギーの大幅な増大が生じていることを明らかにした。一方、励起子分子の局在の度合いを定量評価するために、新たに励起子分子のストークスシフトの実験的な定義法を提案した。従来から定義されている励起子のストークスシフトと比較すると、それらの間には強い相関があり、励起子のストークスシフトに対する励起子分子のストークスシフトの比を0.8と導出した。この結果は、励起子分子が非常に強く局在の影響を受けていることを示しており、この強い局在化が励起子分子結合エネルギーの大幅な増大に結び付いているものと考えられる。
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Research Products
(4 results)